東海道新幹線がただ今絶好調のJR東海。が、前例のないリニア計画を前に、財務や環境など、視界は不透明だ。
その額、9兆0300億円。JR東海がはじいたリニアの総工費だ。2045年の東京─大阪間の開業まで、30年超もかかる超巨大プロジェクトの費用を、JR東海はすべて自己負担で賄う。
JR東海はリニア建設にあたり、建設費と収益、債務削減のペースを試算、10年に発表した(図表1)。前提に挙げているのは、27年に東京─名古屋間を開業した後、借入金・社債を削減し、大阪まで延伸するという、“2段階”の計画である。債務が想定外に膨らめば、健全経営・安定配当の維持という、同社の根幹が揺らぎかねない。その目安として掲げるのが、長期債務残高「5兆円以下」という数字だ。
5兆円という金額はいろいろな意味を持つ。一つはかつて多額の債務を背負った自身の経験である。
国鉄の分割民営化を経て、新幹線については、JR各社が施設を借りて路線使用料を支払うリース制度から、有償で購入する方式に転換。と同時にJR東海の場合、5兆円以上の債務を抱えた。高金利の当時は利率が年6%を超えており、毎年3000億円以上を支払利息に計上。有利子負債を5000億円減らすのに、7年間の歳月を費やしている。
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