9兆円の巨大プロジェクトであるリニアは、JR東海にとって稼ぎ頭となるのか。JR東海や国土交通省の中央新幹線小委員会は、リニアの収支を明らかにしていない。今回、リニアの品川─名古屋間開業時と名古屋─大阪間開業時で、それぞれの収支を独自に試算した。
まず算出の前提となるのは「利用者数」だ。小委員会では、経済成長率が1%かつ高速道路の料金が現状と同じ場合、リニアの輸送量がどれくらいになるかを予測。輸送量は旅客人キロ(利用者数×輸送距離)で表される。これを、名古屋開業時で年167億人キロ(11年度の東海道新幹線の旅客人キロに対し38%)、大阪開業時で同408億人キロ(同92%)と、予測している。
ただこれは必ずしも実態に即さない。より実際に近い数値を求めるべく、貨物・旅客地域流動調査(国交省)の府県相互間輸送人員表を基に、1日の利用者数を試算した。
リニアは首都圏、中部圏、関西圏の三大都市圏を直結する。三大都市圏に含まれる都府県間の移動者数がリニアの利用者数にほぼ等しい。三大都市圏間の移動のうちリニアの利用者数は、東海道新幹線から移行する人数と推定した。航空機からの転移や人口減少は考慮していない。
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