「中国への嫌悪感」が台湾民進党圧勝の背景 台湾学生運動のリーダー・林飛帆氏に聞く

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――鴻海グループの郭台銘会長は、3月の学生運動の際に仲裁役を買って出て、学生指導部に接触しようとしました。ところが、今回の統一地方選挙では彼は「国民党を支持せよ」とおおっぴらに発言しました。このような行動をどう思いますか。

学生運動の際、彼の影響力はまったくありませんでした。彼が学生と連絡を取り合うことで発言権を得て、さらに仲裁役になりたかった。ところが学生がそれを受け入れませんでした。その当時、われわれが選挙していた立法院に来ることに反対していました。両岸の政治代表者と資本主義の代表的な人物であったためです。

鴻海会長の行動は、若者の反感を買うだけ

そのため、彼は腹を立てたのでしょう。悪口を言い始めました。「民主主義だけでは飯は食えない」という言葉まで口にしました。しかし、彼の発言は、青年層の怒りの度合いを高め、反感を買うだけです。

――台湾の若者たちの考えや行動は、香港をはじめアジア諸国にも影響を与えています。このような状況についてどう評価していますか。香港の学生たちの行動に実質的な影響を与えたと見ていますか。3月の学生運動と香港の民主化運動を比べると、どのように考えますか。

立法院前で。今年春に占拠して以来初めて、久しぶりに訪れた

香港の行動について、私は言及することを避けたいと考えています。なぜなら、香港の市民運動が現在進行形であり、彼らにも主体性と未来への対策を持っているからです。

私が台湾で話すことが、台湾ではそれほど大きな影響力はないと考えがちですが、それが香港に伝わると北京当局と香港政府が「セントラル(中環)占拠運動は台湾の学生運動と台湾の独立運動勢力と結託している」とウソをつき続けます。

いま、このようなことに言及すれば、香港の学生に提案しているような形になり、われわれは成功者であり、われわれが背後で指導しているというような意味になりかねない。それは不適切だと考えます。

また、中国政府であれ香港政府であれ、どちらもすでに多くのウソや虚偽の情報を流している状態です。香港の運動に影響を与えることは避けたい。だからこそ、私はノーコメントです。

楊虔豪 台湾人ジャーナリスト
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