沢井製薬がキョーリン製薬との経営統合提案を正式発表、オープン化で片思いが通じるか?
後発医薬品大手の沢井製薬は2日、キョーリン製薬ホールディングスに対して経営統合を提案した、と正式に発表した。沢井製薬は今夏から統合案をキョーリン側に打診してきたが、これまでのところ両社による具体的な協議には至っていない。沢井製薬は提案内容をつまびらかにすることで、キョーリン側を交渉のテーブルに引き出したい狙いだ。
これまで沢井製薬は経営統合案について、11月上旬の決算発表会見で澤井光郎社長が一部の報道を認める形で提案の事実を認めるにとどまっていた。キョーリン側とは「現時点で詳細な検討を経た回答はなく、経営統合に向けた前向きな協議には至っていない」(沢井製薬)という。この中で正式発表に至ったのは、提案内容を全面的にオープンにすることで沢井製薬側の施策を両社株主らに知ってもらい、キョーリン側を交渉の席に着かせる狙いがあるため。
提案書は統合の意義として、キョーリンの新薬開発力と、高い成長性を持つ後発医薬品市場での沢井製薬の優位性を「ハイブリッド・ビジネスモデル」として融合させることで、新たな成長スパイラルを生み出せる、としている。統合が実現した場合の収益は、両社単独の想定売上高の合算値を12%、同営業利益を21%上回ると見込む。
統合形態としては持株会社方式を念頭に置くが、キョーリンを存続会社として沢井製薬を吸収させるなど、あらゆる形を両社で検討すべき、とした。また、統合後もキョーリン経営陣には新会社経営に参画してもらい、キョーリン社員の協力も得ながら両社社員の融合をはかる--など記者会見した澤井社長が何度も「友好的に話し合いたい」と言うように現体制への配慮もにじませている。
提案が有効期限を11年2月末と定めていることについて、澤井社長は会見で、「期限までに回答が得られると想定している」と自信を見せた。ただ、これまでにキョーリン側から前向きな回答が得られなかった理由については「私どもにはわからない」と述べた。また2月末までに回答が得られない場合は株式公開買い付けによる買収に乗り出すのか、との問いに対しては、「2月末までの回答を想定している」と繰り返すにとどまった。
キョーリン側は経営陣が統合提案に対して否定的であるほか、キョーリン株の4割以上を保有する創業一族が統合に応じない意向と伝えられている。キョーリンは11月、「(沢井製薬の提案に対し)賛同しかねる旨を回答しており、当該提案は失効したものと理解している」とリリース上でコメントしている。医薬中堅のキョーリンの売上高は約997億円(10年3月期実績)で沢井製薬の約2倍。
(鶴見 昌憲 =東洋経済オンライン)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
連本2010.03 50,069 8,518 8,406 4,982
連本2011.03予 63,000 11,500 10,500 6,200
連本2012.03予 72,000 12,500 12,000 7,200
連中2010.09 30,586 6,396 5,499 3,254
連中2011.09予 34,000 5,900 5,800 3,400
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1株益¥ 1株配¥
連本2010.03 317.3 70
連本2011.03予 393.0 80
連本2012.03予 456.4 80-90
連中2010.09 207.1 40
連中2011.09予 215.5 40
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