ムーディーズ、日本国債A1に格下げの理由 G7でイタリアに次いで低い格付けに

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――つまり、歳入を上げるためには消費再増税が必要だが、それに耐えられるだけの経済の強さが日本にない、潜在成長率が下がりすぎており、それを引き上げる政策もできていないということを問題にしているのか。

その通りだ。今回の格下げの骨子はそういうことだ。

成長のための戦略がまだ具体性に欠ける

2014年の日本の政府債務は、GDP比で245%に達しており、税制・社会保障制度改革と成長率の引き上げと両方ができなければ、財政の健全化はできない。

内閣府が出している資料で、財政再建目標を達成するためには、名目GDP成長率が3.5%かそれ以上でなくてはならないが、それを達成する道筋がハッキリしていない。2013年度でも名目成長率は2%を切っていたし、今期も見通しは下方修正しなければならない状況だ。

物価変動を示す総合指数であるGDPデフレーターが今年第3四半期にマイナスとなったことは、10年以上に及ぶデフレを終息させることが困難であることを示している。

安倍晋三首相が推進するアベノミクスの政策が、効果を上げているのかどうかが問われている。財政出動による景気刺激策で成長率を押し上げ続けることは出来ない。

サプライサイドの政策、構造改革によって、人口減少の影響を一部相殺し、就労参加率を引き上げ、生産性を向上することが可能だ。ただ、成長に必要なサプライサイドの政策の立案、実施、成果を上げるには時間がかかる。これも不確実性の一環をなしている。米国の場合は、歳出削減をし、増税もし、そして、景気も回復してきている。経済が好循環になればそうしたことが可能になる。しかし、日本の場合は、そうなっていない。

――2020年度の基礎的財政収支均衡の目標は遠のいたとみているということか。

不確実性が高まったということだ。

――安倍政権の成長戦略への取り組みをどうみるか。

成長戦略、再興戦略はまだ具体性に欠ける。法人減税については2015年度の予算が発表されるまで確認できない。

TPP(環太平洋経済連携協定)については、締結されれば日本経済全体にとってはプラスと考えている。日本は、輸出先へのアクセスに関して、韓国に対して不利な条件となっており、これを解消していくことはプラスだ。また、貿易の自由化促進は非効率な分野、過剰に保護された分野を改革する点でもメリットがある。ところが、米国との交渉はとん挫し、後ずさりして、今年の年末に成立する見通しは非常に低くなっている。これは格下げの決定にもつながっている。

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