スカイマークとJAL、提携に高いハードル 国交省の認可など、実現するかは不透明
ただ、今回、スカイマークがJALと組む場合、越えなければならないハードルがある。何より国交省の認可が下りるかどうかだ。スカイマークが提携を望むJALは、2010年に会社更生法適用を申請、公的資金が注入され、その後再生したものの、16年度いっぱいまで新規投資やM&Aを制限されている。「公的支援によって航空会社間の競争環境が不適切に歪められていないか」を担保するためである。
JALにとって、スカイマークとの共同運行は、路線網の拡大を意味する。今回は主力路線である羽田の発着便が焦点であるだけに、これには競合するANAからの反発も予想される。太田昭宏国交相が今回の共同運航について「厳しく審査する」と述べたのはそのためだ。もっとも、JALはすでに海外の航空会社との共同運航を行っているうえ、過去には羽田-ホーチミン線の新規就航も認められている。今回のスカイマークとの共同運航がどう判断されるかは予測しにくい。
仮に共同運航が実現したら、次は綿密な価格戦略が必要になる。航空経営研究所の赤井奉久研究所長は「ANAと提携した中堅3社と比べ、スカイマークとJALは、路線の重複が大きい」と指摘する。「JALにとっては、スカイマークの座席をいくらで買っていくらで売るか、という戦略が、収益性を大きく左右する」(赤井氏)。
互いに重複する分野も
確かに共同運航によって、同じ路線でも便数が増えるというメリットはある。とはいえ、スカイマークが羽田-福岡線などで導入した中型機「A330」は、全てエコノミークラスであれば440席可能なところを271席まで減らし、広々とした座席をウリにしている。一方ではJALも同路線で、普通席より足元が18センチメートル広いシート「クラスJ」を導入し、場合によっては「スカイマークの座席(グリーンシート)をクラスJとして販売するのかどうかなど、顧客が混乱する場面も出てくるのでは」と、航空アナリストの鳥海高太朗氏は分析する。
JALとの共同運航は、スカイマークの起死回生の一打となるかもしれない。ただし、その効果が表れるまでのハードルは、まだまだ高そうだ。
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