ドコモ、復活のヒントは「創業期」にあり!

初代社長の「経営哲学」に学ぶ

<インタビュー2> トップこそ現場を訪ねよ

私の社長時代、社長室はつねにオープンドア。もっともほとんど社長室にはおらず、会社のあちこちを歩き回っていたので、秘書からは「ウチの社長はどうも寂しがり屋で」と言われていたし、「ゴキブリ社長」と呼ばれたり(笑)。

あるとき新宿の家電量販店を回っていると、新宿ではドコモはつながらない、と言われた。調べてみると携帯基地局のアンテナがぶっ壊れて、一方向に電波が出ていなかった。新橋で自転車に乗ってどこがつながらないかを調べたこともある。社長は飲みに行っているんじゃないか、なんて言われたけど。トップが現場を知ることが大事なんだ。

ドコモは携帯電話の販売を代理店に任せていた。販売店の窓口の人たちは苦労しているので、ドコモの社員じゃないけど、「ご馳走してやる」と、10人くらいを引き連れてカラオケ店で飲んだり歌ったり。そうしたらいろんな話が出てくる。「ドコモの社員から、お客さんがいるから販売店は休みを取ってはダメだと言われて疲弊している」とか。「ショップの経営者がケチって女性用トイレを作っていないので、女性スタッフが隣のビルのトイレを使っている」といった話もあった。

ここ一番のときはトップが現場に

1999年12月2日、会長当時の大星氏(撮影:梅谷秀司)

「われわれも週休2日なんだから、販売店も少なくとも週1日は休みにしろ」。ドコモショップの経営者には「儲けているんだからすぐにトイレを作れ」と指示して回った。ドコモのために一生懸命働いてくれている人たちが人間らしく働けるようにするのがトップの役目だ。

ドコモの携帯電話が猛烈に売れて品不足になったことがある。5月の連休前にお酒やジュースを持っていってメーカーの工場に乗り込んだ。「連休も半分は出てきて製品を造ってくれ」と頼んだら「部品がない」という。すぐに部品メーカーの工場に足を運んだ。別の会社に納めるという部品を「半分よこせ」とお願いした。お酒を飲んでカラオケ歌ったら「仕方がない」と応じてくれた。でも、材料の水晶が足りない。

今度は水晶を造っている会社の工場に飛んでいって、増産をお願いした。水晶は高温・高圧で造っていたので、温度と圧力を2倍にしたらいいと提案したら、爆発するのでダメだという。でも、現場に行くとわかることがある。水晶をスライスする工程で半分近くがダメになることを突き止めた。品質管理の強化を要請したら、1週間で不良品率は2割減って、水晶不足が解消した。

ここ一番のときはトップが現場に出ていかないといけない。

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