AOKI、多角化経営の実践と野望、紳士服市場縮小をカバー《新「本業」で稼ぐ》
カラオケ、複合カフェはイメージ戦略を徹底
この二つの事業で重視しているのはブランドイメージの確立だ。カラオケボックスや複合カフェ・ネットカフェといえば、ともすると雑然としたイメージが根強い。それを払拭するため、前者にはフランス南部の海岸コート・ダジュール、後者にはバリのリゾート地というコンセプトを持たせている。
各地の風景画や彫像を店内に配置することはもちろん、各事業の企画や営業担当者は年に1度、1週間ほど現地に滞在、訪れた一流ホテルやレストランをヒントにしながら、料理メニューやイベントなど新たな施策を考えだす。
コート・ダジュールで人気メニューとなっているピザもその一例だ。本場のレストランで出されていたものを参考にして、専用オーブンで焼き上げている。カラオケボックスでの料理というと、スナックや揚げ物が主体になりがちだが、こうしたファミリーレストラン顔負けのメニューで、差別化につなげている。
研修制度も徹底している。横浜市都筑区にある本社では、1年365日、研修が行われない日はない。本社には実際の店舗とまったく同じ設備が用意されている。受付や会計はもちろん、フリードリンクの機材や厨房も本物を使い、接客から調理、清掃に至るまでのロールプレイングを繰り返し行う。教官が審査をする中で行われる研修によって、全店どこでも高水準の接客を提供できるようにしている。
また、安心して利用できるようにと、複合カフェもカラオケも、運転免許証などの提示を義務化した会員制度を採用している。こうした施策の結果、学生から会社員、主婦層へと客層は広がり、コート・ダジュールは業界6位、快活クラブは業界トップの売り上げを誇るまでに成長している。
郊外店を中心に展開するコート・ダジュールでは11月18日、都心繁華街では初となる銀座コリドー店をオープンした。アニヴェルセルからシェフを招くなど力を入れており、旗艦店として重要な店舗になる。一方、アニヴェルセルも11月からオリジナルの引き出物や引き菓子を中心に構成したカタログを開発。来年4月には3年ぶりとなる新施設を豊洲に開業する予定だ。