ソニーの命運は、イメージセンサーが決める 「人の目を超えるセンサー」に掛かる期待

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一方、減速局面に入ったのが、デジタルカメラを中心としたイメージング事業だ。高付加価値製品へのシフトをいち早く成功させ、他社に比べると良い事業状態ではあるが、「一眼レフでも付加価値の小さな部分の減速が目立ち、ミラーレスへのシフトが加速している」(デジタルイメージング事業本部長の石塚茂樹氏)とし、商品ラインナップの精査による差別化戦略と、オペレーション効率化による、より高収益型への転換が急務である。

ソニーの屋台骨の一つであったプロ向け映像機器事業でも、4Kカメラを軸に安定した支持は得られているものの、プロ向け機器へのIP/IT技術導入の加速に伴い、事業体制の最適化が必要となる。とはいえ、イメージング関連部門は現状の問題認識もしっかりしており、不安材料は少ない領域と感じた。

黒字化したテレビは「Android」で飛躍するか

技術面でドラスティックなビジョンを打ち出したのが、テレビとデバイス事業である。テレビ事業は、7月に分社化したものの、それ以前の収益構造改革の成果から、10年連続赤字という不名誉な状態を脱し、ようやく黒字化を果たした。

テレビ事業部門子会社であるソニービジュアルプロダクツの今村昌志社長は、「2014年度のテレビ事業の黒字化は、事業存続のための入場券」と説明する。一方で「売り上げが2~3割下がっても、利益の出る事業構造を目指す」とも語り、当面は手綱を緩めるつもりがないことを示す。具体的には、2017年度のモデル数を2014年度比で3割削減し、選択と集中を進める。

そして、技術面での柱として強調したのが、2015年度製品から、テレビ向けOSとしてAndroidを採用する、という方針である。「低価格製品を除き大半のモデルに採用」(今村氏)としており、文字通りの全面採用となる。今村氏は狙いを「R&Dに関わる固定費の削減」と説明する。

従来ソニーは、OSからLSIまでを内製・垂直統合で開発してきたが、モバイル機器やサービス連携を考えると、Androidを採用する方が良い、とソニーは判断した、ということになる。「これまでの内部製作もしくはオフショア開発とは大きく変わる。大幅な効率改善になる」と今村氏は言う。

オープン系OSを採用するということは、他社との差別化が問題になってくる。「PCやスマートフォンで起きたことがテレビでも起きるだけ」との懸念だ。また、テレビは買い換えサイクルが7年から8年と長い製品であるのに対し、スマートフォンは進化が早く、2年程度で買い換えが進む。そうした商品サイクルの違いに伴う問題を解決できたのかどうかも見えない。そうした疑問は、「ソニーのAndroid TV」が発表され、品質や機能が見えてくるまで評価が難しい。

他方で、今村氏は次のようなビジョンも明かす。「これまでのテレビは、放送の規格によって画面サイズや画角が決まっていた。今後はネットコンテンツをはじめとする様々な情報が表示され、放送コンテンツに縛られないサイズになっていく。結果、テレビが従来のフォルムとは異なるものにもなっていく。そういう新たなテレビを出したい」。

これは、ある意味「テレビの放送離れ」であり、「テレビとディスプレイの境界の変化」でもある。発展性のある製品戦略と言えるだろう。

雰囲気が異なっているのが、イメージセンサーを軸としたデバイス事業だ。同事業では、もっと大胆な策が進行している。「弊社のイメージセンサー開発は、他社より2年は先を行っている。人間の目の限界を超えることを目標に、挑戦を続けている」--デバイスソリューション事業本部長の鈴木智行氏はそう説明する。

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