私たち「スマホを持った原始人」が得た大切なもの 寄藤文平さんが新しい手帳に込めた「哲学」
「スマホを持って情報テクノロジーにも通じている。それどころか、雨や風をも操れるほどの能力を手にしながら、育ててるのは“苔”なんです(笑)。その、そこはかとないばかばかしさというか、行きどころのない滑稽さみたいなものが、僕はいいなと思っています。
世界を鮮やかに彩るとか、食物連鎖を健全に保つとか、そういう方向性から根本的に脱線してる世界が苔にはあると思うんですよね。彼らの技術を駆使すれば、たぶんとんでもないことができるんです。でも、だからこそ苔の世界を手放さない。そういう存在としてMoss manを想像しました」
Moss manたちは、“苔”を育てるプロセスを通して、yPadの使い方も教えてくれる。しかしなぜ“苔”なのか?
「苔は、日当たりがよすぎても生えないし、日照がなくてもダメ。適度に涼やかで水がたっぷりないと生えない。苔って放っておいても生えるけど、育てようとするとけっこう難しいんですよね。Moss manは日向も日陰も好き。要はいられるところにいたいんです」
のほほんとしているように見えてそれぞれ哲学者
忙しさがステイタスであり、寝てないことが自慢だった時代ははるか昔。にもかかわらず、いまだにどこかで休むことや残業しないことへの罪悪感がある。そんな現代を生きるわれわれにとって、Moss manたちの生き方はとても自由に映るが、同時に無意味にも見える。