観光シーズン到来、「レストラン列車」の作り方 京都丹後鉄道の担当者が語る「食とサービス」

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車窓案内やグッズ販売もあり、福知山―天橋立間の1時間20分はあっと言う間に過ぎた。

乗車後、京都丹後鉄道の運営会社を傘下に抱える WILLER(ウィラー)で広報を担当する清水美帆氏に話を聞いた。

──レストラン列車を企画した時点で、車両設備や法的な部分でどのような制約があったのですか。

車内で提供するという制約があります。例えば、温蔵庫、冷蔵庫のスペースには限りがあるため、メニュー構成時に考慮が必要です。材料の納品方法を含めて、調理の事業者とは入念に打ち合わせをしています。

車内では火が使用できませんので、スープなどはポットに入れて注いでいます。温かい料理は温蔵庫もしくは湯せんを使用します。

運行中に盛り付けをしますが、カウンターのスペースにも制限があるため、料理提供時に使用するワゴンも活用し、事前に盛り付けのシミュレーションなどを実施し、作業過程も簡素化することで、できるだけお客様をお待たせしないように心がけています。

レストランと車両のコンセプトをミックス

──鉄道会社が運営されるレストラン列車は、地域の象徴としての側面があります。その観点から、地域の特色をどう考えますか。また、その特色を踏まえたレシピ作りをレストランあるいは料理人にどのように指示しているのでしょうか。

地産地消を意識してメニュー構成を考えています。その過程で地域のレストランに依頼することもあります。「丹後くろまつ号」のコンセプトと、レストランなどの事業者側のコンセプトをミックスすることで、どちらも知名度の向上などのチャンスとなることを考慮しています。

丹後くろまつ号の走る丹後エリアには、伝説も多くあります。過去には浦島太郎伝説をモチーフとしたお伽御膳コースや七姫伝説をモチーフとした旅する伝説味わいコースなどを企画しました。そうした地域の情報・特色をお客様に知っていただく機会にもなると考えております。

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