コンサルから転身「39歳DeNA球団社長」の正体 野球が仕事になった契機は新聞広告と交通事故
さらに掲げた5年後の「国内では黄金時代を目指す」という目標。この“5年”という数字にも意図がある。
「10年ってなるとまだ時間あるよねとなって、本気で強化しなくても間に合うって思ってるうちに過ぎてしまう。10年後に目標を置くといまいち危機感というか、ピンとこない。5年って高いハードルですけど、可能性はあるかなと」
何事か成し遂げるまで得られない本当の楽しみ
黄金時代からの世界一──。そのとき求める球団の姿とは?
「プロ野球をやってる以上、勝たずして成功したって言えるかっていうと言えないと思います。ファンの皆さまを含めた盛り上がり的にも、経営的にも結果を残しているし、定期的に勝てるっていうのは、スポーツビジネスで成功と胸を張って言えるために必要だと思います」
DeNAに転職した今、球団社長という自分をどう見ているのか。
「日々、ものすごくエキサイティングなことをやらせてもらってますし、非常に楽しんではいます。ただ、まだ何事も成し遂げられてないなという気がしているので、成し遂げるまでは本当の楽しみは味わえていないのかなと。それの楽しみを見つけるまではやり続けたいと思っています」
運だけで生きるな。頑張らないやつが神社に行ってもしようがない。 byモグライダー
1982年(昭57)7月3日、神奈川・横浜市生まれ。筑波大駒場高、東大、同大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻修士課程を修了し、2007年にコンサルティング会社「Bain and Company東京支社」入社。2012年3月に横浜DeNAベイスターズに入社した。執行役員、事業本部長、副社長を歴任し2021年4月に代表取締役社長に就任した。
芝大輔、ともしげが2009年に結成したお笑いコンビで、昨年2012月に行われた漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2021」では8位。DeNA木村球団社長の仕事始めのあいさつで漫才のネタが引用され、ともしげが感謝の言葉をツイートしたことが注目された。
「論理的思考力は周りを圧倒していて、最適解を導き出すスピードは非常に早い。初めて会ったときと変わらず、付き合いやすい人物です。今は社長という役職ですが、決して偉ぶることがなく、スタッフとも積極的にコミュニケーションをとっている姿をよく見ています」
DeNA木村球団社長の30分強の取材を録音したボイスメモを文字に起こすと、1万1000字を超えた。記者からの質問に、間髪入れずに自身の考えや経験談を返答。沈黙の心配などはまったくなく、端的に、時にジョークも交えながらの“マシンガントーク”に引き寄せられた。
キャンプ視察も、独自の視点を持ちながら現場を回った。2軍の嘉手納キャンプでは、新任の小杉2軍投手コーチの姿に着目。「今まで見なかった光景」とブルペンで直前の投球データを見ながら、感覚的な部分も助言する姿に新時代の到来を感じ取った。就任1年目の昨季は、本拠地横浜スタジアムの試合に足しげく通いながら、スタンドの雰囲気を肌で感じて情報を収集。木村球団社長自らファンに愛されるチーム作りに奔走する。やるべきことをやり尽くすスタイルは「モグライダー」の漫才のネタそのものだ。
(取材・構成=久保賢吾)
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