エンタメ界の性的強要はなぜ根絶できないのか 呆れた実態、力を持つ人が陥る危険な思考回路

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相手を甘く見ている加害者には、「ウィン・ウィンにしてあげればいいよね」という考えの浅さと、「俺がお前を使ってあげる」という傲慢さがあり、それはどんなに甘い言葉で言いくるめようとしても伝わってしまうもの。ビジネスパーソンの中にも、「仕事ができて地位もある人なのに、異性が絡むと考えが浅くなり、傲慢さがにじみ出てしまう」という人をよく見かけるだけに、今回の件は決して他人事ではないのです。

では、エンタメ業界にその「ウィン・ウィン」を思わせる、両者が合意した枕営業はあるのでしょうか。

今回の件を報じた「文春オンライン」は、同じタイミングで「『おっさんずラブ』瑠東東一郎監督が人妻ヘアメイクと“不倫LINE”  夫は『最低の男です』」という記事も配信していました。こちらも「監督とヘアメイク」という立場の差がある関係性ではありますが、「両者の同意があった」という異なるニュアンスを感じさせます。

この2人の関係が「恋愛なのか」「枕営業の要素を含んでいるのか」はわかりませんが、実際に「ウィン・ウィン」の人たちがいるのも事実。しかし、そういう関係性の成功体験がある人ほど、「勘違いして同じことを繰り返し、想定外の相手から告発されてしまう」という落とし穴があるだけに要注意です。

ただ、これまでさまざまなエンタメ関係者に聞いてきた限り、「完全に同意している」というより、「疑問や不満を抱えながらも同意している」というケースのほうが多く、その関係性は常に波乱含み。たとえば、力を持つ側が「同意の関係性」と思っていても、現実的には力を持たない側がいつ爆発してもおかしくない爆弾を抱えているようなものなのです。

どれだけリスクをイメージできるか

では、どのように気をつけていけばいいのでしょうか。

まず力や地位のある人ほど、日ごろから「どんなリスクがあるのか」を具体的かつ鮮明にイメージしておくことが重要です。今回の件で言えば、榊監督のダメージは「被害女性の尊厳を傷つけてしまい、償っていかなければいけない」ことだけではありません。

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