テレ東が、ついに民放の「勝ち組」になった! 前期好調だったテレビ朝日は低迷

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日テレやテレ東とは対照的に、元気がないのはテレビ朝日ホールディングス、フジ・メディア・ホールディングスだ。

テレ朝HDの営業利益は73億円で前年同期比23.9%減少。ブラジルW杯の放送などの影響で番組制作費が膨らんだ。視聴率はゴールデン、プライム、全日とも2位だが、前年同期比では軒並み下落している。10月の番組改編で看板ドラマシリーズ「相棒」「ドクターX」「科捜研の女」を一気に投入し日本テレビを猛追するが、3~10月の平均視聴率はゴールデン10.4%、プライム11%、全日7.1%。ゴールデンで2.0ポイント、プライムで1.4ポイント、全日で1.2ポイントと、日テレとはまだ差がある。

かつての視聴率トップ、フジも冴えない。営業利益は95億円と前期比33.9%減少。視聴率の低下が止まっておらず、ゴールデンの視聴率は9.7%で3位だが、テレ朝の背中は遠い。

個人視聴率でも3冠陥落か

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フジは復活できるのか(撮影:尾形文繁)

フジにとって頭痛の種になっているのは個人視聴率の低下だ。前出のゴールデン、プライム、全日が指すのは世帯視聴率。関東地区のテレビ所有世帯のうち何パーセントがテレビをつけていたかを表す推定値だ。それに対して、個人視聴率はどのような人がどれくらいテレビを視聴したかを示す。

実は、フジは世帯視聴率こそ低下していたが、個人視聴率では広告主のターゲット層である20~34歳女性(F1層)、20~34歳男性(M1層)の視聴率でキー局トップを維持。広告の単価も高い。だが今上期は日本テレビが、F1層、M1層視聴率のゴールデン、プライム、全日でトップ。世帯視聴率3冠に加えて、個人視聴率のF1層、M1層でも初の3冠を狙っている。若年層に強いのがフジテレビの売りだったが、その地位も危うくなってきた。

上期に増益を達成したもう1社であるTBSホールディングスも本業は厳しい。営業利益は10.1%増の48億円。その増加分の大半は、赤坂サカスをはじめとした不動産事業によるものだ。視聴率はゴールデン、プライム、全日とも4位と低迷。放送収入も減少している。

視聴率好調な日テレとテレ東、苦戦するテレ朝、フジ、TBS。上期は明暗が分かれたが、下期は人気ドラマを一気に投入したテレ朝が独走する日テレにどこまで迫れるのか。またテレ東の勢いはどこまで続くのか。各社とも気が抜けない戦いが続く。

中原 美絵子 フリーライター

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なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

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