専門家が警鐘「停戦交渉」が楽観視できない理由 ゼレンスキー大統領が多くの人を動かしている

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アーミーグリーンのTシャツ、あるいはフリースに身を包み、髭も剃らず、やつれた彼は、ウクライナ人に最低限の武器で自分たちの街を守るよう鼓舞しているのだ。彼はまたヨーロッパ諸国の大半を説得し、ウクライナが独立、自由、民主主義のために勇敢に戦う国であると認めさせ、自国に対する援助へと動かした。

キエフに残る、というゼレンスキー大統領の決断、そして彼の家族がウクライナに残るという決断は、多くの人の心を動かした。アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領とのあからさまな対比を連想する者もいる。ガニ大統領は、タリバンが郊外に出現するや否やカブールから逃げ出し、後に残されたアフガニスタン兵の士気を削いだ。

ウクライナからポーランドへ退避してきた親子(写真:The New York Times)

アメリカからの退避勧告に対してもゼレンスキー大統領はこう答えた。「必要なのは弾薬だ。退避の手配ではない」。戦果がどうなろうと、この返答はウクライナの歴史に刻まれることになるだろう。

ウクライナ大統領はSNSを巧みに利用

大統領と彼のチームはSNSを巧みに利用している。キエフの街頭での熱のこもった演説はネットを通して拡散された。また、大統領陣営は、ウクライナ国民が火炎瓶を充填する様子や、戦闘への志願、自動小銃の支給、祖国を守る誓いを立てる様子を捉えた写真や短い動画も投稿した。

ゼレンスキー大統領はまた、ヨーロッパ諸国の指導者らを、自国に対するさらなる支援へと動かした。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、大統領のリーダーシップとウクライナ国民の逆境に立ち向かう力は、「われわれ全員の心を動かした」と述べた。

(写真:The New York Times)

さらにドイツの新政権は、ヨーロッパの安全保障面で、より大きな役割を担うこととし、歴史的とも言うべき方向転換を図った。ドイツは、自国が全体主義的な背景を持つことがネックとなり、ソビエト連邦崩壊後、大きな影響力を持ちながらも積極的な動きを見せてこなかった。しかし、オラフ・ショルツ首相は、ドイツ議会を前にした27日の力強い演説で、新たなページをめくったのだ。

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