ホンダの正念場、「品質改善」が急務に リコール多発で新車投入が遅延、工場は減産

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需要のある場所で生産し、為替リスクの抑制や輸送コストの削減を狙うのは、日本の自動車メーカーに共通する戦略だ。トヨタ自動車や日産自動車の輸出比率は5割台と高いのに対し、ホンダは“地産地消”の生産体制を早々に構築している。一方、これまで国内販売は、「N―BOX」などNシリーズと呼ばれる軽自動車の好調が下支えとなっていた。ところが今回のように、新車投入が遅れて販売が下振れすると、たちまち国内工場は減産を強いられる。

今後の国内販売は、新車発売の成否がカギを握っている。11月に発表する高級セダン「レジェンド」を皮切りに、15年3月期末までに立て続けに、投入が遅れていた新車を発売する方針だ。

負の連鎖を断ち切れるか

品質問題を受け、10月23日には伊東社長ら役員の報酬返上を発表した(写真は昨年9月のフィット発表会)

だが、主力車種のモデルチェンジを含めた新車を大量投入できるタイミングは、頻繁にあるものではない。国内市場は頭打ちで、消費増税に伴う需要の停滞も懸念される。ヒットが出れば別だが、国内100万台を恒常的に維持するのはかなり厳しい。

岩村副社長は10月28日の決算会見で、為替や各地域の販売の変動に対応するため、「最終形としては、各地域で10~20%程度を、ほかの地域へ輸出する枠組みを作っていく」と述べた。日本での拡販には限界があり、世界販売の拡大で、どこまで各拠点の生産バランスを取れるかがポイントだろう。

そして喫緊の課題は品質改革だ。相次ぐリコールを受けてホンダは品質改革担当を新設した。四輪事業本部の福尾幸一専務執行役員がこれを担当し、併せて本田技術研究所の副社長も兼務することになった。社内で「ミスタークオリティ」とも呼ばれる福尾氏は重責を担う。リコールの多発で販売に影響が及ぶという負の連鎖を断ち切れるか。正念場を迎えている。

(撮影:梅谷秀司)

(「週刊東洋経済」2014年11月8日号<11月4日発売>掲載の「核心リポート02」を転載)

木皮 透庸 東洋経済 記者

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きがわ ゆきのぶ / Yukinobu Kigawa

1980年茨城県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。NHKなどを経て、2014年東洋経済新報社に入社。自動車業界や物流業界の担当を経て、2022年から東洋経済編集部でニュースの取材や特集の編集を担当。2024年7月から週刊東洋経済副編集長。

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