東京地検特捜部が日本中油事件で柴野多伊三・元衆議院議員らを起訴【東京地検臨時会見】
東京地検は10月8日に臨時記者会見を開き、9月21日に逮捕していた元衆議院議員の柴野多伊三氏(59歳)ら、日本中油の会社役員2人を起訴したと発表した。訴えられたのは日本中油代表取締役の柴野容疑者のほか、同取締役の清水大作容疑者(40歳)。
容疑は、「電磁的公正証書原本不実記録等供用」。柴野容疑者は中国石油天然気集団公司(CNPC)グループを名乗り、2009年8月4日に日本中油を東京都港区浜松町に設立した。現在でも公開されている同社のホームページによれば、虎ノ門に上海中油企業集団の駐日代表事務所、北京、ロシア、韓国、マレーシアに支社を擁している。だが、東京地検特捜部の調べによれば、日本中油に事業活動の実態はない。
特捜部が発表した「公訴事実の要旨」によれば、柴野容疑者や清水容疑者は、ほかの数人と共謀して、2000万円の貸付債権による現物出資を装い、「発行済み株式総数2000株、資本金2000万円」とする虚偽の設立登記申請書を提出。商業登記簿原本である電磁的記録に不実の記録をさせて、これを備え付けさせて供用した疑いがある。
さらに、柴野容疑者や清水容疑者はほかの1人と共謀して、日本中油名義の口座間で資金移動を繰り返すことで、実際は払い込んでもいないのに、12億3000万円の増資を行ったと装って、「発行済み株式総数12万5000株、資本金12億5000万円」とする虚偽の変更登記申請書を提出。同様に、商業登記簿原本である電磁的記録に不実の記録をさせ、これを備え付けさせて供用した容疑がある。
一見、特捜部が動くほどの大事件とも見えないが、会見に臨んだ東京地検特捜部の捜査担当者は、「旧商法では資本金や増資資金の全額が保全されていることを証明する『払込金保管証明書』の添付が必要だったが、06年5月施行の会社法では登記手続きが見直され、資金を遊ばせないという主旨のもと、(会社設立時や増資時に)保管証明書の添付が不要になった。本件はそのことを逆手に取った犯罪。金額の多寡は問題ではない」と、本件の悪質性を指摘した。
(山田 雄一郎=東洋経済オンライン)
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