伊予灘ものがたり「2代目」登場、JR四国のこだわり 外部に頼らず製造、社員の自信につながった

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白羽の矢が立ったのは1991年入社の松岡哲也氏(現・デザインプロジェクト担当室長)。社内に人材を求めたのは著名デザイナーに頼むと金がかかるという理由もあるが、それだけではない。四国をよく知っているかどうか、単発ではなく継続的に車両デザインに関与できるか、何よりも「JR四国の車両はこういうものだ」と示せるか。

駅舎や新型特急の担当者に白羽の矢

その点、松岡氏は愛媛県松山市出身で、入社後はJR四国の駅舎のデザインを担当していた。車両では本四架橋を走る「マリンライナー」のラッピングを手掛け、伊予灘ものがたりと同時期に進行していた新型特急「8600系」のデザインも行った。蒸気機関車を思わせる黒くて丸い先頭形状のデザインは多くの鉄道ファンをあっと言わせた。半井氏が「彼がいなかったら外部にお願いしていたかもしれない」と言うほど、信頼を寄せていた人物だった。

半井氏は当時、「伊予灘ものがたりが成功すれば、ほかの線区で第2弾の観光列車を検討したい」と話していたが、第2弾どころか第3弾まで登場した。

次ページ平均乗車率8割超の「伊予灘ものがたり」
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