「奨学金480万円」借りた男性の「肩身の狭い」恋愛 地方在住で「車なし」、デートは毎回彼女の迎え

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「迎えに来てもらっている分、『ガソリン代は出すから』とか『ご飯代は出すから』とか言って、お金は出していました。でも、やはり肩身の狭い思いはありましたよね」

デートにも車が必須という、ある意味地方ならではのエピソードだが、彼女との関係は良好で、今は結婚を見据えて同棲中だという。ただ、そんな今でもなお、彼女に対して引け目を感じることがあるという。

「今、彼女と生活費を折半していて、一緒にご飯食べたり、遊びに行った時は、2人の共有の口座からお金を出しています。そして、その口座にそれぞれ毎月決まった額を貯金していっているのですが、申し訳ないことに貯金額が僕と彼女で1:2の割合なんですよね……。

でも、僕はまだ返済額が400万円以上あるし、彼女のほうが収入も多い。車のことも貯金額のことも、彼女は『そんなの気にしなくてもいいよ』と言ってくれるんですけど、要らぬ気を遣わせてしまっている気がするんですよね」

一方、恋人の実家は裕福で…

ここまでくると真面目が過ぎるような気がしないでもない。「気を遣うほうが、彼女さんは嫌なんじゃないですか? 将来を約束した仲なら少しぐらい負担をかけても」……そんな言葉が出そうになったところで、小野さんがこう続けた。

「コロナ禍ですけど、彼女の意向もあって結婚式をしたいと考えているんです。彼女の実家が援助してくれる予定で……僕の実家とは対照的に、彼女の実家は裕福で、しかも自営業で成功しているんですよ(笑)。しかもみんなめちゃくちゃいい人たちで……。

対照的に、結婚式をしても、僕の実家からの支援は一切ないでしょう。彼女や彼女の実家にはとても感謝しているんですが、引け目を感じてしまいますよね」

そんな背景もあるらしい。たしかに、このような環境で引け目を感じないのは、逆に難しい気もしてくる。

いろいろと肩身の狭い小野さんだが、だからといって昇給や、職場での出世は簡単ではないようだ。

「理学療法士は病院や施設によりけりですが、今自分が勤務している病院は、理学療法士だけで数十人います。そのため、上のポストを狙うとなると確率はかなり低いんです。

あとは、独立して、治療院や訪問の福祉サービスをする会社を自ら立ち上げる道もあります。実際、そうした人から聞くとかなり手取りが増えるようなのですが、その分忙しいだろうし、なにより、自分は自営業で失敗してきた父の姿を散々見ているので、『サラリーマンのほうが安心』という気がしてしまうんですよね」

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