わざと注目回避?首相「勝負の会見」17日開催の謎 五輪への関心高まると予想された日に設定

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今回のコロナ会見についても、与党内では「首相が自ら国民に説明するべきだとの声に逆らえなかった」(自民幹部)との見方が多い。首相サイドも「支持率低下が、渋る首相の背中を押したのは事実」(側近)と肩をすくめる。

本来のコロナ会見日だったはずの18日夜でなく、あえて前日の17日に設定したのは、「表向きは、18日は衆院予算委の集中審議で、国会報告を受けての対策本部開催は午後7時以降となり、首相会見も大幅に遅れる」(自民国対)との理由だ。

しかし17日は、北京五輪での日本選手団のメダル獲得が集中する可能性があることは、事前に予想されていた。

そして髙木美帆選手の金メダル、ノルディックスキー複合男子団体の銅メダル、ドーピング騒ぎで世界が注目したフィギュアスケート女子フリーでの坂本花織選手の銅メダル。さらには、カーリング女子で大人気のロコ・ソラーレの準決勝進出で、夕刻以降は日本中が沸き返った。

会見前後のメダルラッシュで激減した注目度

しかも、多くの国民が固唾をのんで見守ったスケート女子やカーリング女子はいずれも岸田首相の会見直前の快挙。深夜の坂本選手の銅メダル獲得も含め、17日夜はメダルを獲得した選手の歓喜や号泣の場面が、テレビやネットを覆いつくしていた。

もちろん、首相サイドがここまでの状況になることを予測していたのかは不明だ。しかし、結果として国民生活にも直結するコロナ会見への国民の注目度が極めて少なかったのは事実だ。

一夜明けた18日の衆院予算委集中審議では、野党による厳しい首相追及が続いた。しかし、同日の東京の新規感染者数は10日間連続で減少し、多くの専門家も2月上旬での感染ピークアウトを認めた。

オミクロン政局の深刻化で政権危機すらささやかれていたのが岸田首相。しかし、窮余の一策だった17日のコロナ会見後は、「当面の危機は乗り越えられる」(周辺)と安堵している。「なお強運は続いている」(同)というわけだ。

岸田政権にとっての次の転換点となるのは、まん延防止等重点措置の期限となる3月6日だ。岸田首相はコロナ会見で、一般論と前置きしたうえで「地域によって違うが、3月6日を待たずに解除することもありうる」と語った。

ただ「こちらも予測どおりに進むかどうかは不透明」(専門家会議有力メンバー)なのが実態。それだけに、今のところ2週間後まで岸田首相の“強運”が続く保証はなさそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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