新時代を生き抜く力を伸ばして自己肯定感も高める「音読」の方法 「表現・読解・傾聴・発声・褒める」力がアップ

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新時代を生きるスキルだけでなく「自己肯定感」も高めやすい

このような形で音読に取り組むと、表現力はもちろん、読解力傾聴力発声力褒める力といった、新時代を生き抜くスキルがアップしていくと感じます。

また、そういったスキルだけでなく自己肯定感も育まれていきます。僕はすべての授業で「わかる・気づく・納得する」を大切にしていて、その前段階として「自己選択・自己決定」の機会を保障し、そこから「自分にもできた」という実感を得る機会の創出を意識しています。

音読は、比較的その「できる体験」が得られやすい活動だと思います。初めは全然読めなかったのに、繰り返すうちにだんだん見通しがついてスラスラ読めるようになるものなので、自分の「伸び」を実感しやすいんですよね。

また、繰り返し音読をするうちに気がつくと覚えてしまっていることがありますよね。これも「覚えちゃった! すごいなあ」「やればできる!」につながり、自信を生みます。

ただし、教室内には、識字障害、吃音など、さまざまな学びづらさを抱えたお子さんがいます。そういう子たちにとって、音読はすごくハードルが高い。皆さんも子どもの頃に「みんなの前で、1人で音読をする」経験があったと思いますが、どうでしたか。僕はとても苦手だったし、今でもそういう場面では緊張します。

子どもならなおさらでしょう。でも、まったくやらないのではなく、音読活動を通じて互いの成長を一緒に分かち合おう、見守ろうという雰囲気を大切にしていきたい、そんなクラスをつくっていきたいと考えています。

例えば、ハンディキャップを周囲が理解していることが前提ですが、識字障害のお子さんであれば、友達が読んだ後に復唱するなど、仲間がサポートする形を取る。そうやって、「聞く力」や「発声力」を中心に伸ばしていくなど、その子ならではの成長の実感が得られるような配慮が大切だと考えています。

「昨日の自分より今日の自分は一歩進めた」、この感覚は誰にとっても重要であり、自己肯定感につながる部分ではないでしょうか。

田中光夫(たなか・みつお)
1978年生まれ、北海道出身。東京都の公立小学校教員として14年間勤務。2016年、主に病気休職の教員の代わりに担任を務める「フリーランスティーチャー」となる。これまで公立・私立合わせて延べ11校で講師を務める。NPO法人「Growmate」理事としてマーシャル諸島で私設図書館建設にも携わる。近著に『マンガでわかる!小学校の学級経営 クラスにわくわくがあふれるアイデア60』(明治図書)
(写真:田中氏提供)

(文:編集部 佐藤ちひろ、注記のない写真:IYO/PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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