
もうすぐ今年も終わりですね。僕は映画や漫画を観賞するのが趣味なので、この冬休みも複数の動画配信サービスを駆使していろいろな作品に触れる予定です。基本的にリフレッシュを目的にコンテンツを楽しんでいますが、実は映画や漫画の中には教員の参考になるような隠れた名作があります。
そこで今回は、僕がとくに学びが多いと感じた3作品をご紹介したいと思います。もしご興味がありましたら、冬休みにでもぜひチェックしてみてください。
「書きたいように書く」を通じた「探究」の威力
まずは「書く力」や「探究」について考えを深められる作品をご紹介しましょう。それは、2007年の公開映画『フリーダム・ライターズ』。映画『ミリオンダラー・ベイビー』でアカデミー賞主演女優賞を獲得した有名俳優、ヒラリー・スワンクさんが初めてプロデュース兼主演を務めた映画です。

DVD:1572 円 (税込み)
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2021年12月の情報です
舞台は、ロサンゼルス暴動から2年が経った1994年当時の荒れ放題の高校。ヒラリー・スワンクさん演じる新任教師のエリンが、「書きたいことを書きたいように書く」という授業を通して生徒たちを変えていった、実話に基づいた物語です。
当時、僕は授業で「作家の時間」(関連記事)という「書く力」を育むワークショップを進めていたので、「まさにこれだ!」と思い、すぐさま視聴しました。
今、全国的に「探究型学習」への取り組みが広がりつつありますが、「作家の時間」というライティング・ワークショップは、まさに探究そのものなんですよね。興味のあることについて深掘りしながら、調べたことや想像したことを自分の言葉を使い文章で表現する学習なので、書く力を伸ばすだけでなく自分自身と向き合う機会にもなるんです。
この映画では、そんな自己探究を通じて生徒たちが成長していく姿を見ることができます。「自分を取り巻く社会なんて変えられない」と思っている生徒たちが、自分が思ったことを自由に書き表すことで自分自身について知っていく。そして、「自分にも社会を変革する力があるんだ」という気持ちへと変わっていく。新しい教育のあり方が模索される令和の今こそ、ぜひ多くの教員の皆さんに見ていただきたい名作です。
ちなみに、僕が個人的に感動したポイントは、新任教師エリンのひたむきな姿。彼女には「子どもたち自身の内に秘めた力を引き出し、子どもたち同士で高め合いながら問題解決に取り組もうとする力を育てたい」という大きな目的があると思うのですが、なかなか一筋縄ではいかない。何度も心が折れそうになりながらも立ち上がる姿に触れ、僕は勇気をもらいました。