最初は酷評「ビンドゥンドゥン」異常ブームの裏側 五輪開幕が迫っても当初は売れ行きは伸びず

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日本でも人気を博しているビンドゥンドゥン(写真:ロイター/アフロ)

北京冬季オリンピックでトップアスリート級の注目を集めているのがパンダをモチーフにした大会公式マスコット「ビンドゥンドゥン」だ。

関連グッズは海外でも高値で取引される人気ぶりだ。中国発のIPが海を超えてヒットすることは滅多になく、関係者の期待は大きいが、ブームはいつまで続くのだろうか。

ビンドゥンドゥンは灯籠をモチーフにしたシュエロンロンと共に、2019年9月に発表された。今でこそ「かわいい」「萌え」と愛されているが、当時、ビンドゥンドゥンへの評価は高いとは言えず、SNSでは「パンダはありきたりのアイデア」「不細工」「ばかっぽい」と酷評された。

販売店舗の多くは在庫も補充しなかった

現地の報道によると、五輪開幕が迫ってもマスコットのグッズの売れ行きは伸びず、販売店舗の多くは、在庫の補充をしないまま1月31日から1週間の春節休暇に入った。

ビンドゥンドゥン人気に最初に火をつけたのは日本テレビの辻岡義堂アナウンサーだ。購入した大量のピンバッジを披露したり、ビンドゥンドゥンを追いかける様子が日本の朝の情報番組で取り上げられると、その映像に中国語の字幕がつけられ、2月2日ごろから中国のSNSで大拡散した。大会関係者によると、辻岡アナ関連の動画は2月上旬までに各プラットフォームで3億回以上再生・閲覧されたという。

4日の開幕式が終了すると、ECサイトでグッズが爆発的に売れ始めた。5日早朝には北京市内の店舗に行列ができ、店に入れるまで数時間かかるようになった。競技が始まると、表彰式でビンドゥンドゥンの露出が増え、人気が加速していく。「中身がおじさん」「羽生結弦選手を真似た4回転半ジャンプ」などマスコット単体でも話題を振りまき、ブームはピークに達した。

春節休暇明けの2月7日、株式市場が再開すると、五輪グッズの製造ライセンスを持つ企業の 株価がストップ高をつけた。山西証券によると、五輪期間中にグッズの売り上げは25億元(約430億円)を超える見込みだという。

ただし、製造元はウハウハというわけではなく、むしろ長期休暇中に突然人気が沸騰して、右往左往しているようだ。ビンドゥンドゥンのフィギュア の生産を受託する福建省の工場は10日まで年始休暇だったが、小売店だけでなく大会組織委からも矢の催促を受け、航空券とボーナスを支給して従業員を呼び戻し、5日に操業を再開した。

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