――今PCR検査の数が急激に増えすぎて、検査キットが不足しているとか。予防のためにも検査を受けたほうがいいでしょうか?
まずは実際に発熱やせきなどの症状がある人、濃厚接触者、濃厚接触者にはならなかったけれども感染者の近くにいた人が確定診断やスクリーニングを受けることを優先したほうがいいでしょう。
もちろん、不安があれば検査を受けてもいいのですが、検査の精度は100%ではありませんから「偽陽性」も「偽陰性」もありますし、検査翌日や直後、場合によっては検査会場で新たに感染するかもしれません。これだけ感染者が増えると、「不安だから検査を受ける」のは相対的に意味がないだろうと思います。それよりも、他人との接触をなるべく控えるなどの基本的な対策の徹底のほうが大事です。
新薬には期待していいのか
――最近、新型コロナウイルスによる強い炎症を鎮めるために有効な「抗炎症・免疫抑制薬」がわかったり、ウイルスそのものの増殖を抑える「抗ウイルス薬」ができてきたとか。
これから、さらに新しい薬ができる可能性ももちろんあります。より適切な使い方もわかるかもしれません。ただ、抗ウイルス薬に関しては、ウイルスは一晩でも爆発的に増えることがあるため、発症してすぐでないとより有効には使えません。また生産できる数に限りがありますし、もちろん副作用が出る可能性もあることから、今は重症化リスクが高い人だけに使われています。つまり今のところ、抗ウイルス薬は発症したばかりで体内のウイルスが少なく軽症で、しかも重症化リスクが高い人でないと使えません。
――そう考えると、やはり命を守るためにワクチンは重要ですね。ワクチンが怖いという人の多くは「よくわからないから」と言います。新型コロナワクチン(mRNA)はどんなワクチンか改めて教えてください。
ワクチンは、病気になる前に病原体(ウイルスや細菌など)の全部または一部を安全な形で体内に入れ、あらかじめ体に、病原体に対する抗体を作らせるためのものです。病原体の毒性を弱めた「生ワクチン」、毒性を不活化した「不活化ワクチン」と違って、「mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン」はウイルスの設計図を入れることで抗体を作り出します。ほかの方法のワクチンと比べても反応性が高く、しかも今までのワクチンと比べても安全性に遜色なく、世界中で接種され、日本でも80%の人が接種していて、すでによくわかっているワクチンといえます。
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