峰宗太郎に聞く「オミクロンから身を守る方法」 「新型コロナは風邪」理論が無理筋な理由

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――なるほど、やっぱりワクチンには重症化予防効果があるんですね。もともと「新型コロナは風邪」などと言われたりもしていますが、オミクロンは軽症者が多いからか余計にそう言われているのが気にかかります。

ひとことで答えると「普通の風邪の場合は、こんなにたくさんの人が入院したり、亡くなったりしないですよね」ということなんです。風邪やインフルエンザでも、高齢だったり、ほかに重大な病気があったりすると亡くなることは確かにあります。でも、大抵の場合はというか、ほとんどは入院しませんし、亡くなりもしません。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)になると、健康でも若くても、重症化して入院したり、亡くなったり、重大な後遺症が残ったりすることが現実にたくさんあります。その現実から目を背けるのは相当におかしいことだと認識しないといけませんよね。

――本の中では、新型コロナウイルス感染症は、風邪と違って「免疫の過剰な反応」が起こることも詳しく書かれていて勉強になりました。

体内に入ったウイルスは、私たちの細胞を利用してどんどん増殖していきます。一晩で数百万倍に増えることもあるのです。それに対して免疫が反応して、鼻水やせき、熱などが出るわけですよね。ここまでは風邪も同じ。でも、新型コロナウイルス感染症の場合は、体内のウイルス量が減り始めてからも、さらに免疫が過剰な反応を示すことでいわゆる間質性肺炎や呼吸不全などが起こったりします。風邪でこのようなことは、なかなかないですね。

私たちは本当に「騒ぎすぎ」なのか?

――新型コロナウイルスでは、たくさんの人が亡くなっています。それでも「年間1%くらいしか死なないのに」「そこまでしなくてもいいし騒ぎすぎ」などと言う人もいますが、どうご覧になっていますか?

日本人は、年間100万人くらい死亡しています。その1%というのは、およそ1万人。新しいたったひとつの病気によって年間1万人も多く亡くなるのは大変な事態です。

また、新型コロナウイルスは、流行の波がきたときに患者さんが幾何級数的に増えます。けれども医療資源は急に増やすことが不可能なので、そこまで……というのはマスクやワクチン、三密回避などのさまざまな対策でしょうけれども、これをしないと病院にはほかにもさまざまな病気の人が来られるわけですからパンクしてしまうわけです。すると、結果的に死者はもっと増えます。超過死亡で考えるんですね。新型コロナウイルス感染者だけでなく、結果的に診られなかったほかの病気の方もです。ですから、つねに対策が必要なんですよ。

(出典:『新型コロナとワクチン わたしたちは正しかったのか』)

――オミクロンのような変異ウイルスは今後も出てくるのでしょうか? 変異ウイルスができないよう、何か対策は取れないんでしょうか?

そもそもウイルスというのは、ヒトの細胞内で増殖するときにコピーのミスが起こることで、どんどんと変化していくものです。そのなかでも感染しやすいものが、人から人へと広がっていく。これを止めるには、やはり流行を抑えることが必要です。予防がいかに大切かをわかっていただけると思います。

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