次期韓国大統領選は最大野党候補が若干リード テレビ討論会では「勝負なし」の判定だが…
「勝者はいない」テレビ討論会
――今回の大統領選で初のテレビ討論会、全体的にどういう印象を受けましたか。
李在明氏が都市開発事業をめぐる不正疑惑、一方の尹錫悦氏も義母や夫人の詐欺や学歴詐称など、両候補にそれぞれスキャンダルが発覚し、今回の大統領選はこれまでの大統領選と比べ、「まれに見る好感度の低い」大統領選挙と言われていた。それゆえ、1回目のテレビ討論番組の視聴率が39%と、金大中(キム・デジュン)氏が当選した1997年に過去最高となった55.7%に次ぐ歴代2位の視聴率となったのは意外だった。2022年3月9日の投票日が近づくにつれ、ようやく有権者の注目が集まり始めたのだろう。
もっとも、11日に行われた2回目のテレビ討論の視聴率は21.4%に下落した。韓国メディアは同じ時間帯に北京オリンピックで韓国選手の活躍が期待されるショートトラックの競技が行われた影響と報じている。かつてのように国中が熱気に包まれるような大統領選挙には、もはやならないのだろう。
1回目のテレビ討論のあと、韓国メディアは記事に「勝者なし」と見出しを打った。2回目も含め、討論はこれまでの情勢を大きく変えるほどのインパクトはなかった。
――討論では激論、例えば各候補者が口角泡を飛ばすような激しい議論は行われましたか。
2回目のテレビ討論では、相手の発言を「虚偽」「インチキ」と評するなど、激しい言葉も出たが、それでも、ののしり合いなどはなく、1回目と同様、各候補とも司会者の指示に従って持ち時間をほぼ守っていた。トランプ大統領が当選した2016年や20年のアメリカ大統領選挙のように、混乱を極めたテレビ討論のイメージが逆効果となり韓国にも伝わったのかもしれない。今回の韓国の討論会は全体として静かに整然と進行したという印象を受けた。韓国の民主主義の成熟ぶりを示したと言えるのではないか。
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