テスラにポルシェ…最新BEV乗って感じた現在地 モデル3、タイカン4CT、iX3、EQAを一気乗り

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今回の合同試乗会では、充電機器の関連企業がブースを出して商品説明を行っていた。ある関係者は「急速充電だけで事業として黒字化することは当面難しい」と市場動向を分析する。

主な理由として、充電機器の高出力化による価格上昇と設置工事費などで、初期費用が数千万円となることに加えて、高出力化による電気代が高額になることを挙げた。

実際、急速充電器の運用台数は、2019年から2020年にかけて下降傾向が鮮明になっている。これは、筆者も2010年代初頭に全国各地で取材した、経済産業省によるEV/PHVタウン構想等による自治体や官公庁向けの急速充電器の導入施策に対する反動だ。

試乗会の拠点で充電するプラグインハイブリッドのプジョー「508 HYBRID」(筆者撮影)

各自治体で所有する急速充電器は、そろそろ製品として寿命がくる。しかし、導入以来これまでに事業としての収益性が低いため、新規の買い替え需要に結びつかない自治体が多いのだ。

そのほか、旅行事業の関係者によると、旅館やホテルに設置した急速充電器や普通充電器の収益性が、大きな課題だという。「集客のため充電設備は必然だ」という考えもあるが、コロナ禍となり宿泊施設全体の収益が落ちる中、充電機器の買い替えに迷う事業者が少なくないのだ。

こうした状況下では、輸入車/国産車を問わず、各ブランドのディーラーで充電器の設置数を増やし、ブランドの枠を超えてどこのディーラーでも充電可能となるような仕組みづくりも必要になってくるはずだ。

また、前述の充電器事業関係者は、私的な意見として「将来的に普通充電の出力を現在の6kWや11kWから程度から数倍引き上げて、自宅や企業などでの充電を優先させることが、EVの確実な普及に結びつくのではないか」という見解を示した。この考えは、長年にわたり世界各地でEV関連取材を続けている筆者としても、同感である。

HEVを除外するEC、HEVも主力とする日本

EU(欧州連合)の執務機関であるEC(欧州委員会)が推奨する「欧州グリーンディール政策」によって、ヨーロッパ市場では2035年までに事実上、新車販売できるのはBEVまたはFCV(燃料電池車)のみとする目標が掲げられている。

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一方で、日本市場では一気にBEVシフトするのではなく、基本路線はHEV(ハイブリッド車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)、FCV、そしてBEVという全方位戦略を進めていく。

政府による「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に対して、日系自動車メーカー各社でつくる業界団体である日本自動車工業会(JAMA)が、総意として2022年1月27日の定例会見でそう公表している。

欧米で進むBEVシフトがこれから先、日本市場にどう影響するのか。各メーカーだけでなく、各国政府やEU、ECなどの動向を見守っていきたい。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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