テスラにポルシェ…最新BEV乗って感じた現在地 モデル3、タイカン4CT、iX3、EQAを一気乗り
具体的には、クルマ全体に軽さを実感でき、またサスペンションが積極的に動くことでの柔軟性が心地いい。さらにディーゼルエンジンとしては、かなり静かなデキである。
これまで50年近くさまざまなクルマに触れ、内燃機関(エンジン)からえる味わいがカラダ全体に沁みついている筆者にとっては、まだ「カラダと心がBEV慣れしていないのかもしれない」と思った。
今後、日本でBEV普及が進む中、多くの人が内燃機関の乗り味を忘れてしまうのだろうか。
「制御の幅」と「コモディティ化」
試乗した4台のBEVはそれぞれ、走行モードが変えられる。搭載するモーターの最大出力が大きいと、その分、走行モード変更によって出力およびトルク特性の差も大きく出る。
特に、タイカン4クロスツーリスモのスポーツプラスモードでは、あえて内燃機関っぽい音を出すことで、トルク変動に対してさらなるインパクトを演出する。
今回は、一般道路を中心に一部有料道路を走ったが、どのモデルでもスポーティーな走りをはっきりと実感するほどの急加速や高い速度での走行はできなかった。
だが、法定速度内で走っていても、走行モードを変えてキャラ変を少しだけ味わうだけでも、ちょっと楽しい気分になった。改めて、BEVにおける制御の奥深さと多様性を思い知らされた。
もう1点、4台のBEVを比較して気になったのは、目視して触れることができる部分でのクオリティーについてだ。
タイカン4クロスツーリスモとiX3 M Sportは、基本的に内燃機関で用いてきた従来の発想をベースに、それぞれのブランド価値を維持して、そこからさらに発展させようという雰囲気を感じる。
一方、モデル3は周知のとおり、従来のクルマの感覚を転換するような、斬新なアイデアが詰め込まれている。
アクセル/ブレーキ/ハンドル/シフトなど、「走る・曲がる・止まる」に直接関わる装置以外の操作は、すべてダッシュボード中央のディスプレイに集約し、車内は実にスッキリした意匠でまとめられている。また、リアシートの質感も従来のクルマのイメージとはかなり異なるものだ。
また、これら3台とメルセデス・ベンツが作るEQA はさらに違う。
「EQ」というBEVブランド戦略の中で、「メルセデス・ベンツとしての常識を変えていく」というメーカーとしての強い意志を感じるのだ。
自動車産業の創世記から業界のリーダーという重責を担ってきた同社の製品に対する大きな変化について、ユーザーが今後どう捉えていくのか、実に興味深い。
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