北京「2度の五輪」で鉄道網はどれだけ進化したか 新しい高速鉄道は一般観客なしで力発揮できず

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残念ながら現在、青龍橋駅で客扱いする列車はなくなっている。

北京市郊鉄路S2線を走る「和諧長城号」(編集部撮影)

しかし八達嶺長城に行く観光客への便宜を図るため、北京市内から郊外列車「北京市郊鉄路S2線」が運行しており、これに乗ればスイッチバックを体験できるようになっている。この列車は2008年の北京五輪開幕に合わせて運行を開始した。

なお、京張鉄路は現在、長距離在来線の京包線(北京―包頭間)の一部に組み入れられているが、実際の京包線列車は青龍橋でのスイッチバックを避けるために造られた迂回路で、北京の西郊外を抜けたのち、真北に向かうルートを通ることで八達嶺付近のきつい勾配を回避する「豊沙鉄路」を通って運行されている。

2008年五輪の前は4路線だった地下鉄

では、冬季五輪に使われる北京市内中心部の施設はどうなっているのだろうか。

北京では、2008年の夏季五輪の際に「鳥の巣」と愛称がついたメインスタジアム(陸上競技場)が造られた。今回の冬季大会では開閉会式の会場となる。鳥の巣の隣接地には、「水立方」と呼ばれる水泳会場があり、当時としては斬新なデザインで目を引いた。今回はこの設備を使って「氷立方」と名を変え、カーリング競技の会場となる。

本来なら、羽生結弦選手のファンが日本から大挙して訪れたかもしれないフィギュアスケートの会場は、市内中心からやや西寄りの首都体育館だ。1968年に竣工した歴史ある施設で、1987年には故西城秀樹さんがコンサートを開いた歴史もある。そのほか、スピードスケート、アイスホッケーは既存の体育館を使って実施する。

北京地下鉄1号線の電車。2008年五輪の際に7路線だった地下鉄は現在24路線に拡大した=2009年(編集部撮影)

こうした会場を結ぶのに欠かせない足が地下鉄だ。2008年北京五輪の前、北京市内を走る地下鉄は4路線だった。街を横断する1号線と、かつての城壁に沿って造られた環状道路の下を走る2号線、北郊外を走る13号線、街の東側を縦断する5号線だ。そして、五輪開催の直前に市内と北京首都国際空港を結ぶ空港線、市内中心部を縦断する8号線、外周道路沿いの環状線である10号線の3路線が運行を開始。観戦客らの移動に貢献した。

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