北京「2度の五輪」で鉄道網はどれだけ進化したか 新しい高速鉄道は一般観客なしで力発揮できず
北京2022冬季オリンピックが2月4日から20日までの日程で開催される。4年に1度の冬季スポーツの祭典だが、中国国内での新型コロナ感染拡大は止まらず、2021年夏の東京五輪に続いて一般客への観戦チケット販売は見送られた。加えて、アメリカをはじめ複数国が人権上の問題から「外交的ボイコット」を打ち出しており、盛り上げようにも厳しい状況となっている。
北京では2008年に夏季五輪を開催しており、今回の冬季五輪はそれから13年半を経ての開催となる。その間に、北京とその周辺の交通事情は大変貌を遂げた。今回の五輪競技会場の配置などとともに、2度の五輪の間に様変わりした北京の公共交通機関の歩みを振り返ってみたい。
ジャンプ会場は北京から200km
まず今回の冬季五輪の会場について見てみよう。大会は「北京」と銘打ってはいるものの、屋外競技は都心から離れたリモート会場2カ所での分散開催だ。
遠いほうのリモート会場は、北京の都心から200kmほど離れた河北省の張家口市に設けている。ここでは、ノルディックスキー、フリースタイルスキー、スノーボード、バイアスロンの各競技が開催される。もう1つは北京市の北端にある延慶区という街に置く。都心から100km以上離れたこのエリアではアルペンスキー、そして滑走競技用の新設会場を使ってボブスレー、スケルトン、リュージュの3種目が行われる。
そもそも北京市の面積は約1万6000平方キロと広大で、日本の四国(約1万8000平方キロ)よりわずかに小さいというレベルだ。市街地は華北平野の一角を占めるが、街の北側には峻険な山が迫る。その稜線に沿って、有名な「万里の長城」がある。2カ所のリモート会場はいずれも万里の長城がある山よりも北側に設けられた。
古くは、長城を越えた北側は、遊牧騎馬民族の「匈奴」が住む場所とされ、都のある北京とは明確に違う地域とみなされていたが、今では長城の北側まで北京市の一部に組み入れられている。
リモート会場のある張家口市と延慶区へは、今回の五輪のために敷設された高速鉄道「京張都市間鉄道」がアクセス手段となっている。
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