新たな「駐日大使」に指名反対相次いだ深刻理由 スーパースターと言われた元シカゴ市長の過去

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「彼は確かに、アメリカの下院議員、民主党党員集会議長、そしてオバマ氏の首席補佐官を務めた政治的な経験がある。上院議員の同氏が駐日アメリカ大使に選ばれたことで、日米間の外交関係がさらに強化され、日米軍事同盟が推進されるだろう」(ロビンソン氏)

一方で、「ラーム氏はシカゴ市長として、シカゴにユニバーサルプレキンダーガーテンや無料のコミュニティカレッジを導入するなど、いくつかの実績を残している。ワシントンDCやシカゴでさまざまな嵐を切り抜けてきたはずで、それが日本でも活かされるのではないか」との期待も示す。

同氏の任命をめぐってもさまざまな意見があるが、「エマニュエル氏が任命されたのは、"バディシステム"のおかげだ」と、46歳のアメリカ人で米空軍退役軍人のクリントン・マイヤーズ氏は見る。

「ラーム氏はクリントン、オバマ両大統領を助け、バイデン氏はオバマ氏の副大統領だった。私の考えでは、ラーム氏はシカゴで行った犯罪的で恐ろしい仕事を隠蔽するために大使の地位を与えられたのではないか。大使の地位は、大統領の友人に与えられるものだ。そして、彼は3人の大統領の友人だった」(マイヤーズ氏)

在日アメリカ人から上がる懸念の声

一方、シカゴでの過去を知っているほぼすべての人は、同氏の着任が日本におけるアフリカ系アメリカ人や、多様なルーツを持つ日系アメリカ人にどう影響するか懸念を抱いている。

「エマニュエル氏の承認に反対するのは当然のことだ。進歩的な変化のためには、現状の失敗に疑問を持ち、説明責任を果たす必要がある」とブラック・ライブズ・マター・トーキョー会長のジェイロン・カーター氏(49歳)は話す。「同氏が、ヴァン・ダイクによるマクドナルドさん殺害事件への対応よりも、アメリカ人と在日アメリカ人を代表することを心に留めていることに期待したい」。

現時点では、どのエマニュエル氏が大使として日本に来たのか誰にもわからない。射殺された青年の家族や黒人コミュニティ全体の叫びや要求にもかかわらず、自分の目の前で正義が遅れるのを許したエマニュエル氏なのか、それともオバマ大統領の首席補佐官としてどんな手段を使ってでも物事を成し遂げ(ここでも確かに活用できる性質だ)、政治的才能とビジネスの洞察力を駆使してシカゴを多くの人々にとって住みやすい街にしたエマニュエル氏なのか。

日本に住む黒人たちは、後者であることを望んでいる。

バイエ・マクニール 作家

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Baye McNeil

2004年来日。作家として日本での生活に関して2作品上梓したほか、ジャパン・タイムズ紙のコラムニストとして、日本に住むアフリカ系の人々の生活について執筆。また、日本における人種や多様化問題についての講演やワークショップも行っている。ジャズと映画、そしてラーメンをこよなく愛する。現在、第1作を翻訳中。

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