プロの"スジ屋"が教える「ダイヤ教室」のリアル感 東武に京急、臨時列車運行で「レア体験」プラス
センターでの座学が終わると、いよいよ南栗橋駅へ徒歩で移動して臨時列車に乗り込む。車内でもアナウンスによる授業が続いた。
「北春日部駅で通過電車の待ち合わせをします。さて、なんの電車に抜かれるか、皆さんの書いたダイヤで確認してみましょう」と、先ほど学んだ列車番号の読み方の応用問題が出題される。
「通過する電車はC1118Kです。Cは南栗橋の始発、Kは東急田園都市線の電車。1100というのは始発駅を11時台に発車することを意味しています」。直後、その言葉通りに東急の車両が追い抜いていく。ほかに「この後、東武動物公園と和戸の間ですれ違うのは東武の車両である、マルかバツか」というクイズもあった。どんな列車に抜かれ、どんな列車とすれ違うのか。参加した親子たちはせっかくの展望席の眺めそっちのけで、手元のダイヤを食い入るように読み込んでいた。
東武の運輸部運転課長、小林立樹さんは「実際に自分たちが走らせているかのような臨時列車に乗る体験をして興味を持ってもらい、ファンになっていただきたい」と企画の意図を説明。「東武動物公園に遊びに行く電車を走らせたいとか、着いた後のことを考える声も聞いて、ダイヤを引くのは電車を走らせることだけではないのだと我々も勉強になった」と話す。
京急も「ダイヤ作成体験」
現役社員が「ダイヤ作成教室」を開催する例は全国各地の鉄道会社でみられる。東京都心と羽田空港、横浜・三浦半島方面を結ぶ京浜急行電鉄も、2021年12月に「ダイヤグラムの作成体験」を実施した。会場は横須賀市にある久里浜工場だ。
グループ会社の京急アドエンタープライズによる貸し切り列車ツアーのコンテンツの1つで、品川からトイレ付きの新造車両に乗って久里浜工場へ直接入線。教室代わりの食堂で、普段ダイヤ作成を担当している京急社員が教えてくれる。ほかに、工場見学や、引退車両で用いられていた部品の販売、屋外でのレアな並びの車両撮影会が用意されており、大人の参加者が目立った。
参加者には駅名が記された紙と3色のペン、定規が配られた。斜線を引くのは横浜―金沢文庫間。横浜以南の京急ユーザーには、普通列車が快特やエアポート急行の通過待ちをすることでおなじみの南太田駅を含む区間だ。担当者の「追い抜くにしても、普通列車が到着してから1分くらい必要です」といった説明を聞きながら普通、エアポート急行、快特の種別を色分けしてダイヤを作成していった。
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