西島秀俊「僕は遅咲き」50歳で大ブレイクした背景 『真犯人フラグ』や『99.9』で見せる変幻自在
さらに、出演する作品の規模感も注目したい。『おかえりモネ』(NHK)や『真犯人フラグ』など朝ドラやゴールデンタイム作品に出演し、『劇場版「奥様は、取り扱い注意」』や『劇場版「きのう何食べた?」』はともに興行収入が10億円を突破するなど大作に目が行くが、規模の大きくない作品にも出演している。
例えば、2021年5月スタートの主演ドラマ『シェフは名探偵』(テレビ東京系)は、23時台という“深夜ドラマ枠”で放送。話題の映画『ドライブ・マイ・カー』は、全国で100館程度という中規模で公開がスタートした作品だった。このほか、『NHKスペシャル』を中心にナレーションの仕事にも積極的に取り組んでいる。
新人俳優のようにフットワークが軽いワケ
誤解を恐れずに言えば、まるで“売り出し中の20代俳優”のように、精力的な活動を見せるのが西島の特徴だ。いったい、このフットワークの軽さはどこから生まれるのだろうか。
西島は、1993年に連続ドラマ『悪魔のKISS』(フジテレビ系)と『あすなろ白書』(フジテレビ系)に相次いで出演し、ブレイク。特に『あすなろ白書』では筒井道隆演じる掛居保に思いを寄せる同性愛者の友人役を演じて、アイドル的な人気を集めた。
だが、さまざまなインタビューで「映画が好きで俳優になった」と語っているように、役者として目指す方向性が違った西島は、当時所属していた大手芸能事務所から移籍。その後、1998年から2001年までは、民放ドラマに出演できないという状況に陥った。
一見、不遇ともいえる2000年代だが、西島は精力的に映画出演をしている。2005年の7本を筆頭に、2002年・2006年・2008年にそれぞれ5本の出演作が公開という、驚異的な出演ペースを見せた。