4万円超の値がついた「土偶ニット帽」誕生秘話 「縄文」界隈注目ヒットメーカーは元バンドマン

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なにかのきっかけで爆発的に話題になるものはあるが、大半は1回の打ち上げ花火で終わる。最初の販売から10カ月の期間を空けたにもかかわらず、初回の10倍、1000人を超える購入希望者がいたのは、竹中やスタッフ、そしてニット帽を編む女性にとって大きな驚きだった。

周囲からさまざまな意見が寄せられるなかで、最も多いのは「そんなに人気があるなら、販売個数を増やしたら?」。なかには「これは、大きなビジネスチャンスですよ」という人もいたし、「私も編みましょうか?」と連絡してくる人もいたという。もちろん、竹中も増産すれば協議会の収入が増えることはわかっている。しかし、個数を増やさないことに決めた。それは、Aさんから「私がやり切ります」という言葉を聞いたからだ。

「たくさん売ればその分儲かりますけど、僕らがグッズを作るいちばんの目的はそこじゃない。それに、エスニック雑貨店をしていたとき、なによりも現地の人との気持ちのいい取引を重視していました。今回も、まだ商品になるかわからない段階から付き合ってくれた作り手の気持ちを大切にしようと思ったんです。だから、Aさんにはいつまでに何個作ってほしいという依頼もしません。自分のペースで、できる範囲で作ってくださいと伝えています」

試験的にヤフオクを利用したら…

この方針を貫いて、昨年12月の第3弾で用意したのも60個だった。ただし、以前から「ニット帽の価格が安すぎるせいで、需給のバランスが崩れている」という指摘や「公平性、透明性の高い販売方法を」という声があったため、周囲の助言もあって試験的にヤフオクを利用することにした。

それがうまくいけば、商品を1点ずつオークションにかけていく予定だったのだが、とんでもない勢いで高騰し、「この金額では手が出せない、どうにかしてほしい」という問い合わせが山ほどきて、ひとつめの落札を終えた時点で出品を中止することになったという顛末は、冒頭に記したとおりだ。

これが行政機関なら判断ミスや失態として捉えられそうなものだが、アイデアマンの竹中はこのピンチにも機転を利かせた。

「わざわざ連絡をしてくるのは、遮光器土偶ニット帽が欲しくてたまらない人だ。そういう人たちと直接やり取りできる機会はめったにない。どれぐらいの金額が適正なのか、どういう販売方法を求めているのか、聞いてみよう!」

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