ニスモとオーテックの合流にまるで違和感ない訳 これまでどう違って統合新会社でどうなるのか

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それぞれのブランドは残る見込みだ(筆者撮影)

とはいえ、それぞれの生い立ちからすると、そう簡単に一緒になるわけにはいかないという事情も少なからずあったに違いない。それは中の人でないとわからないことは多分にあるだろうが、外野のわれわれとしても感覚としてはなんとなく理解できる。

「スカイラインの父」と称される桜井眞一郎氏のもとで創業し、「ファクトリーカスタム」を手がけてきたオーテックと、日産ワークスを母体とするモータースポーツ集団のニスモでは企業文化が異質であることは容易に想像できる。

ところが、前述のとおり両社が協業する領域は年々増えてきている。こうした統合の話がいつごろからあって、なぜこのタイミングなのかというのも気になるところだが、桜井氏の没後11年が経過したことも無関係ではないだろう。

今現在においては統合というと違和感を覚える部分もなくないが、おそらくのちのち振り返ると、かつては別々だったことのほうがむしろ不思議に思えるような気もする。現にオーテックがかねてオーナー向けに毎年秋に大磯で開催している「湘南里帰りミーティング」にも、NISMO CARS事業部が新設された2017年以降はNISMO車も参加が認められているくらいだ。

ご参考まで、設立は1984年9月と1986年9月とニスモが2年早く、2021年11月末時点における資本金はオーテックが480百万円でニスモが495百万円と近いが、契約、嘱託を含む従業員数は440名と160名とオーテックがかなり多い。

新会社の設立は、ニュースリリースのサブタイトルには、「特装事業とモータースポーツを手掛ける2社を統合し、グローバルに事業の強化を目指す」と記されているとおりだ。今回、日産直系の特装車メーカーであるオーテックと、日産ワークスとしてモータースポーツを担うニスモを統合。両社が持つ専門ノウハウや高度な技術力、実績に裏付けられた高いブランド力を、さらに強化し、グローバルに活用の範囲を拡大していき、さらには新会社を日産の重要な戦略的子会社として位置づけ、日産グループ全体の持続的な成長に貢献することを目指すとしている。

それぞれのファンも心配は無用

「吸収」でもなく「合併」でもなく、あくまで「統合」である。とはいえ2つの会社がいっしょになるというと、なんとなくある種のネガティブなイメージで受け取られがちな気もするところだが、今後もレースをやめるわけでもなければ、福祉車両や商用特装車などのカスタマイズも含めて、AUTECHブランド車もNISMOロードカーもなくなるわけではない。

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両社の持つ技術をインテグレートすることで、今まで以上に魅力的なモノづくりやグローバルでの発展を狙い、それぞれにこれまで以上に力を入れていくと、広報担当は説明している。

熱心なファンやエンドユーザーの多い両ブランドだからこそ、不安な気持ちになっている人も少なくないように見受けられるが、ぜんぜん心配することはなく、むしろ大いに期待してよさそうだ。

岡本 幸一郎 モータージャーナリスト

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おかもと こういちろう / Koichiro Okamoto

1968年、富山県生まれ。大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の編集記者を経て、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。軽自動車から高級輸入車まで、国内外のカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでも25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに有益な情報を発信することを身上としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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