ニスモとオーテックの合流にまるで違和感ない訳 これまでどう違って統合新会社でどうなるのか
たとえば、NISMOロードカーがまさしくそうだ。少しおさらいすると、NISMOはもともとメーカー直系ではあるが外部のブランドだったところ、2013年に日産の正式なサブブランドとなった。さらに、2017年にはオーテック内に設立したNISMO CARS事業部において、NISMOロードカーの企画開発を行うことになった。あるいはモータースポーツにおいても、現在は鶴見でニスモのエンジニアが手がけているが、かつてスーパーGTを駆るNISMOのマシンのエンジンを開発していたのもオーテックだった。もともと「NISMO」と「AUTECH」にどのような違いがあるのかをオーテック自身はプレスリリースでこのように説明していた。
【2022年1月26日13時55分追記】初出時、スーパーGTのマシンに搭載するエンジンの開発にかかわる記述に誤りがありましたので、表記のように修正しました。
「『NISMO』と『AUTECH』は、スポーティーパフォーマンスと言う共通土台を持ちつつ、『NISMO』は日産のモータースポーツ活動をそのDNAとしてピュアスポーツを志向するブランド、一方『AUTECH』は走りの性能を『NISMO』と共有しながら、カスタムカーづくりで蓄積してきた職人のこだわりを注入したプレミアムスポーティー志向のブランド」
お互い同じく「スポーツ」や「スポーティー」をうたいつつも、「NISMO」はピュア、「AUTECH」はプレミアムというニュアンスの違いがあり、そのため「NISMO」ではモータースポーツのDNAを受け継ぐパフォーマンスを想起させるスポーティーなデザインを採用し、一方の「AUTECH」ではより高いプレミアム感や素材感を志向するユーザーに向けてクラフトマンシップを訴求してきた。
ブランドは残るがさまざまな合理化が進む
それならいっそのこと組織としてはひとつになって、その中でブランドだけ分けてもよいのではという気もしていたのだが、本当にそうなった。この2社が統合したほうが効率的であることは言うまでもない。これまで双方が携わり協業で進めてきたプロジェクトは、よりスピーディーに事が運ぶようになるだろうし、さまざまなことが合理化できる。
人員、設備、資産、事業領域などは基本的に現状が維持される。気になる「NISMO」と「AUTECH」というブランドはどのようになるのだろうか。新会社には固有名を含んでいないが、ともにブランドとして、また、事業部名、事業所名として引き続き存続し、ますます発展させることを念頭に置いている。お互いの持ち味が損なわれるわけでもない。いいことはあっても悪いことは思い浮かばない。むろんメリットが大きくなければ、こうしようという話にはならなかっただろうから、当然といえば当然だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら