「イスラム国」との戦いは第3次イラク戦争だ

畑中美樹・インスペックス特別顧問に聞く(上)

――最終的に米国自身が地上軍を派遣する可能性は。

オバマ政権が続く2016年までは米兵の地上軍派遣はないだろう。ただ、イラクにはすでに1600人の軍事顧問団が入っており、イラク正規軍が最前線で戦っている時にその一部が後方で指示を出したり作戦を供与したりすることはあるだろう。それでもイスラム国は駆逐されないと見られ、次の大統領が就任する17年以降に米国の世論がどうなっているかによって、場合によっては地上軍派遣がありうるかもしれない。

オバマ大統領は、本心としては中東にあまり手を染めたくないと考えているようだ。それよりも、国内の経済問題を中心に政策努力を集中し、米国経済を再生することに最大の関心がある。ただ、今年の中間選挙を控え、中東問題でこのまま何もしないと選挙に大敗しかねない。それを食い止めるためにも、空爆の決断をしたということだろう。11月の中間選挙後にオバマ政権がどう動くかはよく見ていく必要がある。

日本人はテロに巻き込まれないよう警戒を

――米国などの世論を動かしたイスラム国による欧米人の公開処刑や無差別テロ、諸外国からイスラム国への大量参加といった動きがさらにエスカレートする恐れは。

空爆が始まったことにより、イスラム国は逆に自分たちは被害者だと広報宣伝活動を強めるだろう。彼らが主張しているのは、今のイラクやシリアの国境線は20世紀初頭に当時の大国が勝手に引いたものであり、そうした外国勢力の庇護下にある政権を倒し、すべてをイスラム国にすべきだというものだ。

そうした主張に共鳴する人たちの間では、空爆開始を機に、イラクやシリアに入ってイスラム国に加わろうという動きが強まるかもしれない。また、欧米で、あるいはアジアも含めて、欧米系の経済権益や人々に対するテロ攻撃が起きる可能性がある。

――日本人がターゲットになる可能性も高まっているといえるか。

彼らの考える費用対効果から言えば、日本人を直接ターゲットにする可能性は低いだろう。彼らのいちばんのターゲットは、空爆を始めた米国や、イラクで空爆に加わったフランス、武器供与や人道支援をしている英国やドイツ、軍事作戦参加を表明した豪州やカナダ、オランダなどの人たちだろう。

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