ドイツで急増する「パパ育休」--3歳児神話に勝った育児支援制度

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2カ月間とはいえ、育児に主体的にかかわることで育児の精神的・身体的負担についての理解が深まり、育児スキルも高まります。休業終了後も父親が育児に積極的にかかわり続ければ、母親の心理的な負担感を軽減できるはずです。

--日本では、なぜ父親が育児休暇を取る必要があるのかということ自体、社会的にあまり認知されていないような気がします。

ドイツでは両親手当制度の導入をめぐり、マスコミを巻き込んだ激しい議論が行われ、その過程で伝統的な価値観や、子育て世代のニーズが明らかになったという経緯があります。

ドイツが新制度を導入した背景には、少子化が経済社会に及ぼす悪影響についての危機感がありましたが、日本でも今後、人口の減少が加速することがわかっています。

国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」に基づいて、15~64歳の人口の年平均の減少幅を10年ごとに計算すると、05年から15年にかけては76万人の減少、次の10年も58万人の減少と、これまでに比べて減少幅が急速に増えていきます。

また、就業構造基本調査で見ると、年収300万円未満の正社員の割合が97年から07年にかけて20~30代で急激に上がっています。これからは一部の恵まれた世帯以外は、共働きでないと難しいという家庭も多くなってくると思います。

日本でも今後、こうした観点から議論を活発に行い、父親が育児に主体的にかかわる必要性やそのメリットを考えていくことが必要だと思います。

(聞き手:吉川明日香=東洋経済HRオンライン 撮影:梅谷秀司)

おおしま やすこ
みずほ総合研究所 政策調査部 主任研究員
1998年東京大学大学院修士課程修了後、富士総合研究所に入社。経済調査部(消費・雇用)、外務省経済局への出向を経て、2005年6月より現職。雇用労働問題、少子化政策を担当。著書に『「雇用断層」の研究』2009年4月、東洋経済新報社(共著)、『日本経済の明日を読む2010』2009年12月、東洋経済新報社(共著)、『意欲と生産性を高める高年齢者雇用の制度設計』2007年2月、中央経済社(共著)など。

人事・労務が企業を変える 東洋経済HRオンライン

 

 

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