失われた10年再来を回避するための方策--ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授

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景気低迷が続くアメリカ経済とヨーロッパ経済が日本型の“失われた10年”に直面するのではないかという懸念が強まっている。残念なことに、これらの議論は、政府が需要を刺激するために財政・金融政策を通じて何ができるかという点に終始している。そうした議論は短期的には重要だが、すべての経済学者が知っているように、長期的な経済成長は主に生産性の向上によって決定される。

1992年の金融危機が日本に深刻なダメージを与えたことに疑問の余地はなく、現在、欧米で同様な事態が起こっているのではないかと危惧されている。欧米経済はいずれも、厳格な金融規制の導入を迫られており、しかも依然として、経済が借り入れ超過の状況にある。そのため、今後長期間にわたって信用の伸びが鈍化する可能性が高い。これらの問題に対する手っ取り早い解決法は存在しない。

しかし、日本の経験と、その現在の状況との関連性を評価するに際して重要なのは、日本経済の失墜の原因が金融危機だけにあるのではないことを認識することだ。同時に日本は、多数の深刻な“生産性ショック”にも見舞われたのである。不動産や株式のバブルが起きなくても、日本は急激に台頭する隣国・中国の大きな挑戦を受けていただろう。

すでに90年代の初めに、日本の世界の輸出市場の支配は、マレーシアや韓国、タイ、シンガポールなどの他のアジア諸国の台頭によって陰りが見えていた。だが、中国の挑戦は、それらとはまったく異質なものであり、適応にもっと長い時間がかかるものだった。

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