"曲がりやすいiPhone6"は想定内なのか?

ソフトもハードも、設計の詰めに甘さ

とはいえ、ソフトウェアにバグはつきもの。iOS 8.0.2において問題点を解決すれば済む話だ。それよりも、厄介なことになるかもしれない問題がある。ほぼ同時期にハードウェア設計に対する批判の声も高まっているのだ。

「ウォーターゲート事件」をもじって「Bendgate」と呼ばれるようになったこの問題は、ジーンズ・パンツのポケットにiPhone 6/6 plusを入れていると、いつの間にか本体が曲がってしまう(bendしてしまう)というものだ。かつてiPhone 4が登場した際、手で強く握ると電波の受信能力が下がる現象が発生。アップルがすぐに問題を認めなかっただけでなく、原因と対策を報告した記者発表会の内容も不誠実だったと批判された「Antennagate」に次ぐ、アップルによる不誠実な対応の例というのが被害者たちの主張だ。

剛性を維持する難しさ

ここ数年でスマートフォンの薄型化は急速に進んでいるが、同時に薄いボディでも剛性や高い質感を出すため金属製シャシーを採用することが増えた。iPhoneの場合、iPhone 4ではステンレス製フレームとガラスの組み合わせを選択したが、iPhone 5からはアルミ押し出し材を削り出す工法に切り替えられている。これは軽量化のためだろう)。しかし、金属素材は弾性限界点を超えて曲げると、形状が戻らなくなる性質が強い(塑性変形という)。

一般論で言えば、適切な設計が施された金属フレームシャシーは、十分な剛性を持っていて弾性限界点を超えた曲げが発生せず、よってお尻のポケットに入れたスマートフォンが曲がって戻らなくなることは(ほとんど)ない。曲げに強いiPhone 4のステンレスフレームは当然として、アルミのバスタブ型フレームになったiPhone 5でも同様の問題は聞かれなかった(が、限界を超えて曲げればiPhone 5でも曲がったままにはなる)。

iPhone 5とiPhone 6のシャシー構造はよく似ているが、さらに薄くなったことと、よりサイズの大きなiPhone 6 plusが追加ラインナップされている点が異なる。大きな6 plusがジーンズ・パンツのポケットでより大きなストレスにさらされることは容易に想像できたのではないだろうか。

ネットでの報告を見る限り、Bendgate事件はiPhone 6でもiPhone 6 plusでも発生しているが、6 plusの方が”曲がった”との報告が多いことも、塑性変形に対する設計の甘さを想起させる。

その言葉の響きから、「金属フレーム」のほうが「樹脂」よりも頑丈だと思うかもしれないが、金属は薄型化すると急激に剛性が下がり塑性変形の問題を抱える。このことは他メーカーも意識しており、過去にいくつかの取材の中で開発者が言及していた。たとえば、ソニーのXperia Z2は薄型ボディと金属・ガラスの質感を両立させるため、金属フレームに樹脂を流し込むインサートモールディングという手法で、薄型金属フレームが変形しないよう対処していた。

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