"曲がりやすいiPhone6"は想定内なのか? ソフトもハードも、設計の詰めに甘さ

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iPhone 6 Plusの分解写真(写真:ロイター/アフロ)

OSのアップデートにおける不手際、そして変形問題。iPhone 6シリーズが過去に例がないほどの大ヒット商品になりつつあるゆえに、過去に例がないほど多くの注目も集まっている。小さな問題を過大にとらえすぎていると、アップルを擁護する声も強い。しかし、iPhone 5/5Sにおいて同様の問題が出ていなかったことを考えると、(とりわけ大型化したiPhone 6 plusにおいて)アップルの設計時点での見積もりが甘かったのではないだろうか。

iPhone 6の筐体は多数の開口部があるAndroid端末に比べ、開口部面積を最小限に抑えており、実際に手で曲げようとしても、かなり高い剛性があることがわかる。たとえば同世代となるXperia Z3を同じように曲げると、Z3の方はしなる。つまり、Z3のほうが柔らかいわけだが、しなることによって粘りのようなものを感じるのも確かだ。

9月25日時点でアップルが正式なコメントをしていないこともあり、この場で本件について結論を下すのは適当ではない。しかしながら、今回の問題は起こるべくして起きた、という印象を持つユーザーも多いのではないだろうか。最近のアップル製品に対しては、「ユーザーの裾野が広がった結果」と簡単には一蹴できない問題点の指摘もあったからだ。

対処の仕方次第でアップルの評価を高める契機に

たとえば、iOS 7へのバージョンアップ時には、大幅なデザイン変更に戸惑う声が多かった。音楽プレーヤやカレンダー、写真ビューアなどのインターフェイス設計は美しくなったが、振る舞いが変わったため戸惑う人も少なくなかった。時代に合わせ、その時々のハードウェア能力に合わせてユーザーインターフェイス設計の改良、あるいは再構築は時に必要なものだが、やや強引な面もある。

今回のiOS 8では従来は存在した「カメラロール」という機能がなくなっている。カメラロールにはiPhone自身で撮影した写真が集められるため、他カメラなどから取り込んだ画像とは別に、時系列をさかのぼって目的の写真を見つけやすかったのだが、なぜかiOS 8では廃止されてしまった。より美しく流れるように閲覧し、写真を探せる機能を実装した‥‥とアップルは主張するだろうが、果たして支持されるだろうか。

もちろん、こうした問題は、アップルの業績を動かすほどの大きなインパクトは与えないだろう。しかし、今後のアップルと消費者の関係を占うという意味では別の暗示をしているかもしれない。これまでのアップルは、製品を使う消費者からも絶大なる支持を獲得してきた。だが、その消費者とメーカーの過去に例がない蜜月関係も、そろそろ変化が起きつつあるのではないだろうか。逆にいえば、アップルが今回の問題に対し、徹底的に消費者サイドに立った対応を示せば、より強固なファン層をつくることになるかもしれない。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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