日本の高炉鉄鋼メーカーを取り巻く需要環境の変化と、原材料値決め変更などへの対応《ムーディーズの業界分析》


日本の鉄鋼メーカーを取り巻く需要環境

日本の高炉メーカーを取り巻く需要環境は回復基調にあるが、牽引しているのは外需であり、内需は依然として低迷している。このように外需(輸出)が伸びた背景としては、次のような理由が考えられる。
(1)中国を中心にアジアは、金融危機の傷が浅かった。
(2)また、各国の景気刺激策(日本のエコカー減税、中国の汽車家郷など)も奏功した。
(3)このような環境下で、日系メーカーが得意とする高級鋼の需要が堅調に推移し、この需要拡大を確実にとらえていった。

今後の展開としては、外需は構造的に伸びが続くことが予想される。理由としては、アジア各国の経済成長に伴い、高級鋼需要も伸びると考えられるためである。また、主要顧客である日系自動車メーカーも生産の海外シフト(中国、インド、東南アジア等)を進めており、こういった日系企業の海外ブランド向け輸出も伸長すると見込まれる。

一方、内需は低迷が続く可能性が高い。生産の海外シフトの裏返しであるが、国内製造業の空洞化が進行しており、同時に人口減少、少子高齢化の進行で、国内の自動車需要の回復は期待しづらい状況にある。

したがって、日本の高炉鉄鋼メーカーは、母材供給先を含む販売チャネルの確保と拡大を目指す動きを強めると思われる。特にアジア地域での高級鋼需要の取り込みが企業戦略上肝要と思われ、競合他社にシェア負けしないよう、資本提携や技術提携を進めつつ、顧客の囲い込みを進めていくのではないかとみられる。

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