「ビッグデータ」って、やっぱりすごそうだ 『データの見えざる手』を読む

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運を良くする方法や組織の作り方も、同じように、人と人が会うことを感知するセンサーで探ることができる。また、そのセンサーを客と店員につけてもらって解析したら、どこに店員を配置したら売り上げがよくなるかがわかって、その配置は経験ある店長にも予想できないものだった。そして、会話の質は身体運動、それも高度な身体性などでははなくて、単によく動くかどうかでわかる。

ビッグデータって、そこまで知ってんのか

えらそに言うな!ビッグデータって、そんなことまで知ってんのか。ほんでもって、人間の行動って、そんなに単純なんか。そやからビッグデータはいややねん。こういう予想外の事実を見つけて、正しいねんぞと、つきつけてきたりするから。ううむ、なんか腹立つ。誰か、ビッグデータなんか役に立たない、ということを示してくれる人がいたらうれしいなぁ。

が、おそらくないだろうけれど、たとえあったとしても、それはビッグデータを駆使して得られる結果にちがいなから、やっぱり腹がたったままみたいな気がする。

この本、ビッグデータってすごいみたいやけど、ようわからんなぁと思っている人にオススメである。ビッグデータってやっぱりすごいがなと思うようになるに違いない。どっちやねん、あはは。そして、なんとなくもやもやした気分を高めて、ビッグデータなんかやっぱり好かんやんけという仲間になりましょう。

<画像提供:草思社>

仲野 徹 大阪大学大学院・生命機能研究科教授

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なかの とおる / Toru Nakano

1957年、大阪市旭区千林生まれ。大阪大学医学部卒業後、内科医から研究の道へ。京都大学医学部講師などを経て、大阪大学大学院・生命機能研究科および医学系研究科教授。HONZレビュアー。専門は「いろんな細胞がどうやってできてくるのだろうか」学。著書に『こわいもの知らずの病理学講義』(晶文社、2017年)、『からだと病気のしくみ講義』(NHK出版、2019年)、『みんなに話したくなる感染症のはなし』(河出書房新社、2020年)などがある。

 

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