満を持してアサヒが挑む、ドライ復活「今度こそ」作戦
第3のビール新製品で「未知」の分野に勝負も
一方、第3のビールでも手をこまぬいているわけではない。キーワードはやはり新規客開拓。市場成長は続くが、各社ともすでに看板商品を持っており、現在は2匹目のどじょうを狙う戦いが激化。ただ、味や機能性で差別化を図った新商品が怒濤のごとく投入され、「細分化が進みすぎて、(取れる)市場が小さくなってしまっている」(池田部長)。
そこで、アサヒは戦略の舵を切った。“レッドオーシャン”、つまり競争の激しい既存市場で戦うのではなく、これまでになかった価値を創造することで新市場を築く“ブルーオーシャン”戦略だ。その実験第1弾となるのが、9月に発売する「くつろぎ仕込 4VG」。コンセプトは「香り」と「くつろぎ」。フルーツのような香りで知られるドイツのヴァイツェンビールに似た香りを再現し、リラックスタイムに飲むビールとして売り出す。狙うのはこれまで手薄だった20~30代の男女だ。
味や機能性の訴求に力を入れてきたアサヒからすると、香りなど感覚に訴える商品は、大きなイメージチェンジである。だが、まずはやることに意義がある。「これまでの基準を取っ払って、トライ・アンド・エラーでやっていく」(池田部長)。
大黒柱・スーパードライを立て直しつつ、新たな分野に切り込むという両輪戦略は、もちろん容易なことではない。これまでも「どっちにどれだけ(予算などを)つぎ込むか、という悩みはあった」(池田部長)。この夏、アサヒはまんまと二兎をものにして、かつての快進撃を再演することができるか。カギを握るのは主客ともに若者たちである。
(倉沢美左 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2010年8月14・21日合併特大号)
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