満を持してアサヒが挑む、ドライ復活「今度こそ」作戦
もちろん、数量が減り続けるのを傍観してきたわけではない。07年には若年層に訴求すべく、米大リーグ、ボストン・レッドソックスの松坂大輔選手を起用したCMを展開。09年にはスリムボトル缶を投入したほか、1缶につき1円を環境保護に寄付する活動も始めた。
が、つねに立ちはだかるのはロングセラー商品の宿命だ。テレビ広告においても「環境系からブランドイメージ的なものまで分散していた」(マーケティング本部の池田史郎部長)。アサヒの“広告塔”であるがゆえターゲットを絞りきれず、新規顧客をなかなか開拓できない。完全に袋小路に追い込まれていた。
コアのオジサン層も支持 「カッコイイ世界」を演出
昨年9月、ある決断が下された。それまで営業部にあったスーパードライなど各ブランドの管理機能をマーケティング本部に移管したのだ。従来バラバラだった商品開発や宣伝などを一体化し「スーパードライチーム」を発足させた。新たにスタートしたゲーム。リーダーに抜擢されたのは入社13年目の梶浦瑞穂氏だ。
ゲーム立ち上げと同時に打ち出したのが、若者中心に弱かった層へ再度ターゲットを絞り直すことだ。「誰にも嫌われないマーケティングでは伝わらない。誰に向けてキャンペーンや広告をやるかを明確にしないと」と梶浦氏は言い切る。