トヨタの“苦しい”内実、業績予想の上方修正でも喜べない理由
注目された2010年4~6月期決算。8月4日、トヨタ自動車はその発表と同時に11年3月期の予想を上方修正した。だがその幅は限られ、かえって先行きの厳しさを印象づけた。
まず今期の世界販売台数は、前期比横ばいの729万台から、同2%増の738万台へと上方修正。期初見通しと比較すると、ギリシャ危機の渦中にある欧州以外は、軒並み上積みされた。特にタイやインドネシア経済の好調に支えられた、アジアにおける健闘が際立っている。
これに伴って連結営業利益は、期初見通しの上期1000億円に対し、4~6月期だけでそれを軽く上回る2116億円に達した。今回、上期の営業利益予想を2700億円に上方修正したが、通期の増額幅は500億円にとどまる。実質的に下期の利益予想は下方修正された計算だ。
7月以降は尻すぼみに
4~6月期の増益は、米国での金融事業の改善によるところが大きかった。その中には、貸し倒れや残価損失など引当金の戻し入れが500億円ほど含まれていたが、7月以降はそうした寄与が消滅。円高によるマイナスや販売費の積み増しも加わり、7~9月期の利益は尻すぼみになる。
大規模リコール問題も当初の想定以上に尾を引いている。前期にトヨタは無償修理費用で1019億円を前倒し計上。今期に発生する品質関連コストは手当て済みのはずだった。しかし、今期に入っても「レクサス」のハンドル不具合など、リコールは沈静化していない。その結果、発生する品質関連費用が通期で400億円のマイナス要因になるようだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら