中国の独禁強化で被る自動車メーカーの損得 消費者重視を打ち出したかに見えるが…。
8カ月前の処分が“唐突”に発表された。中国で独占禁止政策を担う国家発展改革委員会(発改委)は9月2日、浙江省の保険業界23社が自動車保険の割引率などを不正に取り決めていたとし、独禁法違反で約1.1億元(約18億円)の罰金を科したことを発表した。
国内事業者の処罰を強調する狙い
自動車保険に限らない。発改委は8月20日、日本の自動車部品とベアリングのメーカー12社による価格カルテルに対し、約207億円の制裁金を発表したばかり。さらに、外資系自動車大手が車両や補修部品の価格を吊り上げた、との疑いで調査中だ。こちらは処分が下される前の8月、独BMWや米クライスラー、トヨタ自動車などが値下げを表明。“外資たたき”との声が挙がっていた。
実は保険業者への処分は、昨年12月30日に行われたものだ。「それを今ごろ発表したのは、『外資たたき』という(中国当局への)批判に、国内事業者も処罰していることを強調する意図がうかがえる」。中国の独禁法に詳しい名古屋大学大学院の川島富士雄教授はそう解説する。
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