産業リサーチ(アパレル) 脱・総合アパレル化で効率経営へ改革進む

振り返ると、厳しい寒さに見舞われたこの冬、業界の期待に反してウールコートは不振だった。季節の変わり目にメリハリがあるほど消費は喚起される、という法則が通らなくなりつつある。消費者の財布のひもは固く、バーゲン待ちが常態化。さらに「ベーシック」がファッションの主流である昨今は、買い替えを促す新鮮なトレンドを企業側が発信できていないのも一因だ。
 各種統計では百貨店、量販店ともに衣料品市場の縮小が続いている。「買わない」「売れない」時代にアパレル側も対応を急いでいる。大手総合アパレルでは、選択と集中を通した”脱総合化”が進んでいる。百貨店が高い集客力・収益力を誇っていた時代は、広範囲の品ぞろえで全国店舗に流せる総合力が有効だった。しかし不採算部門・ブランドを抱える余力はもはやなく、得意分野への戦力集中とゼイ肉落としで生き残りを賭けざるをえない。最近ではレナウンが子供・ベビー服、ナイガイがインナーウエアから撤退した。
 効率化の一環として多くの企業が最優先で取り組んでいるのが、売れ筋アイテムを機敏にとらえ追加投入していくQR(クイックレスポンス)体制の構築と、店頭の商品や在庫、価格設定などメーカー側が自前で管理する「消化取引型」売り場への移行だ。特に後者は、2000年のそごう破綻や地方百貨店淘汰の際に、納入各社が売掛債権に対し多額の損失計上を余儀なくされた苦い教訓もあり、導入が進んでいる。
 アパレルは中小企業が圧倒的に多いが、同時に合併や買収による企業再編も少ないのが特色だ。企画開発からデザイン、委託縫製加工、販売に至るまで各社各様の仕組みででき上がっており、規模拡大で得られる相乗効果は限られる。たとえば同じシャツでもブランドごとに微妙なテイストが生まれ、その個性こそがブランド価値となる。ケタ違いの零細アパレルでも堂々と伍していけるゆえんだ。
 そんな群雄割拠の中で注目されるのが、「ユニクロ」復活に全力投球中のファーストリテイリング、優勝劣敗が際だってきた大手通販、提案力で若者の支持を集めるセレクトショップ、そしてコドモでもオトナでもない小学校高学年の”ジュニア”ゾーンを創生、勢いに乗るナルミヤ・インターナショナルだろう。

 

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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