ジョン・レノンがオノ・ヨーコと出会った運命の日 『ジョン・レノン 最後の3日間』Chapter32

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ヨーコにとってのジョンは…

ジョンは11月8日のオープニングの前日、まだヨーコが展示会の設営を終える前に、会場を訪れた。

ヨーコは、黒いセーターに黒いパンツという服装で、同じく真っ黒な長髪を真ん中で分けてまっすぐ背中に下ろしていた。

「準備が終わるまでだれも入れないでって言ったでしょう」

ヨーコがダンバーに向かってぴしゃりと言い放つ。

彼女は最初、ひどく怒っている様子だったが、ジョンの姿を見るとこう言った。

「あなたのあとをついてまわって、見張っておくことにするわ」

「ジョンはきれいに髭を剃ってて、スーツを着てたわ」とヨーコはのちに回想している。

「それまでに会ったことのある英国人の男は、みんなちょっと貧弱な印象だった。ジョンは、私が初めて目にしたセクシーな英国人男性だったの」

ヨーコはジョンの7歳年上で、2人目の夫であるアメリカ人アーティストと結婚していた。2人のあいだには、ジュリアンと同い年のキョーコという娘がいた。

「それで、どんなイベントなの?」とジョンは言った。

ヨーコがジョンに、小さなカードを手渡す。ジョンがカードを開けると、そこにはひとつの単語が書いてあった。

「息をしろ(Breath)」

「つまり、『息を吐く』とかそういうこと?」

ジョンはそう尋ねて、大袈裟にハアハアと呼吸をしてみせた。

「そうよ。それでいいの」

そう言ってヨーコは微笑んだ。

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