ジョン・レノンがオノ・ヨーコと出会った運命の日 『ジョン・レノン 最後の3日間』Chapter32
愛と希望とセックスと夢……
――「シャッタード〈Shattered〉」
ある日、地元の新聞を読んでいたジョンは、1966年に制作されたある白黒映画に関する記事を目にした。
監督は、分野を超えたグローバルな前衛芸術家集団であるフルクサスのメンバーで、アヴァンギャルド芸術家のオノ・ヨーコという日本人女性だった。
現在はニューヨーク近代美術館に保存されているこの映画は、『ナンバー・フォー(フルックスフィルム16番)』という5分半の作品で、フルクサス創始者ジョージ・マチューナスの言葉によれば、「歩いているさまざまな人のお尻を連続して映した映画」だった。
ジョンはこれを読んで笑い声をあげたが、心の中では、オノ・ヨーコというアーティストの辛辣で正直な姿勢に興味を惹かれていた。
そんなとき、友人のジョン・ダンバー(彼の妻でミュージシャンのマリアンヌ・フェイスフルは、1966年にミック・ジャガーとの不倫をスクープされた)から、自身が1年前から共同経営者を務めるメイフェアのインディカというギャラリーでの個展を見に来ないかという誘いがあった。
個展のタイトルは「未完成の絵画とオブジェ」。アーティストの名前はオノ・ヨーコだった。